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宮本武蔵 般若坂の決斗

aki********

3.0

肩透かし攻撃

中村錦之助(萬屋錦之介)の当たり役と言えば、何はおいても宮本武蔵でしょう。 講談の世界ではひたすら強いだけの鬼神のようだった武蔵が、吉川英治の小説によって、人間として成長を目指すストイックな求道者という新しいヒーロー像に生まれ変わりました。この新しい武蔵像を銀幕の世界で完璧に具現化したのが、錦之助の武蔵シリーズでした。 錦之助は体も大きくなく、声も甲高くて伝統的な「豪傑」というイメージではないですが、むしろその「軽み」が、新しい武蔵像にはピッタリ。もちろん、ただ軽いだけではなく、穏やかな笑顔、身を裂くような苦悶、激しい憤怒といった表情を演じ分ける抜群の演技技術がスクリーン上で躍動!武蔵シリーズが大ヒットしたのも、納得がいくというものです。 恐縮ですが、この映画、あまり面白くないのでした。錦之助は勿論素晴らしい演技を披露しているのですが、シナリオや演出が、なんというか「かたすかし」の連続なんです。内田監督は脚本にも参加しているので、意図的にそういう流れを作ったのだと思いますが、観客に期待させておいて裏切るということをやりまくっています。「時代劇=予定調和」という固定観念にたいするアンセテーゼなのでしょうか?けど突き抜けたいときに突き抜けてくれないと、観客はフラストするんですけどね~。

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