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女の一生

kin********

5.0

ネタバレ濃密なドラマ

戦争で両親を亡くしたばかりに、貧しい生活を余儀なくされた女が、裕福な一家に拾われ、その恩義を一生抱えて生きていく。森本薫の原作を、八住利雄がシンプルで力強い脚本に仕上げています。「映画は省略だ」と言われますが、そのお手本のよう。  女が豪家にふらふら迷い込み、女主人(東山千栄子)に「帰りなさい」と諭されるが、次男(田宮二郎)は同情し、出ていく女のあとを追う。すると世相を伝える新聞記事が入り、次の場面ではもう、女(京マチ子)は家の中で重要な立位置にいる。彼女がよく働くしっかり者で、女主人からの信頼も厚いこと、一家の男たちみんなから愛されていることは、セリフによって説明されるだけだが、京マチ子というスターが演じることで、不自然さはさほど感じられない。  女主人が亡くなり、あとを継いで貿易会社の社長になったころ、設定年齢おそらく30代後半を演じる京マチ子が一番しっくりする。冒頭の少女時代は容貌的に無理があるけど、まあこれは映画の限界。子役を使うことも難しいだろう。  その後戦争が絡んだ典型的なメロドラマとなるが、手錬れのプロが作りあげた映像は観客の期待に存分と応えてくれる。  ラスト、女がすでに老齢ながら、新しい生き方を目指す姿に涙を禁じ得ない。

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