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古都

古都

105

aya********

4.0

ネタバレ幻の街、幻の女性。

西陣織の陰影と京都の街の風景を二重写しにしつつ、都の四季は影絵のように巡る。 ◯キャスト 着物問屋のお嬢さんである主人公千恵子、生き別れになったその双子の妹苗子。対象的な生育環境の二人を一人で演じ分けた若き岩下志麻サマの演技力は、演劇一家の血筋が成せる業なのでしょうか? 西陣織の織り手で相手役の長門裕之サマ、若くて暗い情念がリアルでセクシーすぎる。 人の暮らしと工芸、芸術が切り離しがたく一体であった古都。 それだけに、美しい風景、絢爛たる着物や帯の陰に、暗い旧弊な差別やそれによる人の苦しみがまつわり、血が滲む。 映画はその苦い涙をさりげなく強調してみせます。涙の主はかつて不吉だと差別を受けた双子の娘や、西陣の織り手である青年。 美しいものは絶対的価値がある。けれども、それを支える主人公たちが苦しまねばならなかったのは不条理な差別ゆえ。この訴えは原作小説にも共通するのかしら? 未読なので必読ですね。 誰もが和服姿の祭の宵、暗く湿った長屋奥、手ぬぐいを頭にかけて働く北山杉の村の女性たち。 おそらく二度と蘇ることはない、京都が古都らしかった頃の幻影を垣間見られる美しい影絵のような映画でした。

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