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黒の報告書

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3.0

ネタバレ人間の利己心、検事の悪戦苦闘

タイトルは「黒の~」だが「黒の試走車」と原作は別人(こちらは江戸川乱歩賞受賞の佐賀潜「華やかな死体」)。ある会社社長の殺人事件を担当する検事の悪戦苦闘を描いた法廷サスペンス。 有罪確実と思われた事件が思わぬ方向に。被告側のやり手弁護士の買収工作により、次々に証言を翻す関係者たち、あせる検事。そして判決は…という内容。 人間の利己心を描かせたら増村監督は上手い。自分可愛さに検事側に不利な発言を繰り返す証言者たち。肝心の証言のどんでん返しシーンがやや唐突の感があり(その唐突さを狙ったのかもしれない)、リアリティという点では薄いかもしれないが、証人たちの手前勝手さに追い詰められていく検事の姿は大きな見所だ。単なる勧善懲悪で終わらない展開やラストの苦い後味も印象に残る。 主演・宇津井健は印象薄いが、悪辣弁護士を憎々しげに演じた小沢栄太郎、被害者の愛人役の叶順子(利己的なキャラが増村作品らしい)、被告ながらもふてぶてしい神山繁、検事を助け地道に聞き込みを続ける刑事役の殿山泰司と、脇役の充実も見事。

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