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わんわん忠臣蔵 (1963)

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4.33 / 評価:18件

初級勧善懲悪講座

  • あげまき さん
  • 2010年5月9日 16時11分
  • 閲覧数 916
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

私が子供の時に観た映画の記憶で、年代的に一番古いのは『わんわん忠臣蔵』である。もっとも製作年度は1963年なので、いっくらなんでもリアルタイムで観てはいない。コンテンツの少ない時代だったから、再上映されたものかTVで観たんだろうと思われる。(ちなみに劇場でみた「記憶」で一番古いのは『少年ジャックと魔法使い』。)
「すすーめ、すすーめや、しっぽをあげて」なんて歌も憶えているので、物心ついてから観たんだと思うけど…。

タイトルそのまま犬の忠臣蔵の話だが、主君の仇討ちではなく、母犬を虎に殺された子犬ロックの仇討ちである。
おそらくきこりか猟師にでも飼われていたのであろう、森の小動物の守護者であった母犬シロは、虎のキラーと狐のアカミミの謀略にあい命を落とす。
虎の「キラー」はもちろん吉良上野介の役まわり。虎が森にいるなんつうのはどこの国じゃ、というのは置いといて。弱肉強食の自然界で、虎や狐が生きる為に小鳥やウサギを獲って喰うのどこが悪いんじゃー。というのも置いておこう。物語には悪役が必要だ。ただ、吉良上野介が悪役なのは歌舞伎や映画のイメージで、今では評価も様々であるように、キラーとアカミミが頭ごなしに悪役と決めつけられるのを大人になってから観るのは、ちょっと違和感がある。
まぁ、マンガ映画(アニメ、と呼ぶよりはそういう言い方の方が合う時代)である。
悪い事をしたら、それなりの報いが返ってくる。という初級の勧善懲悪を子供に教えるにはもってこいだったかも知れない。

それにしても流れるようなフォルムのアカミミが森を疾走する姿の美しさはたまらない。
コロコロと遊び回る森の動物たちが、雪のひとひらに変わって降り積もって行く…。
今の日本のアニメ界は、こんなに凄い地盤が基にあるのだ。

遺された子犬ロックは森を逃れ、都会で野良犬のボス・ゴローたちに出逢い、母の仇を討つべく特訓を始めるが、またしてもアカミミの罠にはまり、樽に閉じ込められて海へ流されてしまう。間一髪のところを、灯台守の少女に救われ、彼女の元でりっぱな青年犬へと成長するのだ。

その間に、森の仲間は人間に捕まって、動物園に入れられてしまう。
食べ物は豊富にあるし、なによりキラーに喰われることのない生活にウサギやリスなどの森の小動物は、動物園の生活を「本当によかったね」というセリフを言ったりする。またここでいらん違和感。
私は動物園を肯定する。見世物になっている動物たちに感謝はするが、動物たちがどう思っているかを我々が決めてまして子供らにこういうもんだと見せてしまうのはいかがなもんか。昭和30年代の価値観に平成側から文句をたれるのは卑怯だが(しかも私はそれを吸って育ってきた)、もし今の子供がこれを観るならば保護者が助言するのもありかもしれない(PG12ってか?)。ライオンや象が一緒くたにチンピラ猛獣みたいにされてるのもどうもな、特にゴリラは情に厚い生き物だぞ(実際に会った事はありませんが)。

ぐだぐだ書いてしまったが、やはり昭和30年代のマンガ映画としては金字塔だろう。
なにより犬たち、狐、森の狸、それぞれの個性が生き生きしているし、ロックとキラーの最後の対決は今観てもワクワクする。
モトが忠臣蔵なのでネタばれもへったくれもないだろうが、虎退治をして堂々街を行進して帰る犬の四十七士に拍手かっさいなのである!
水戸黄門見てスッキリする感じによく似ている。そういえば、虎のキラーの声を当てているのは西村晃さんである。この人は、本当は悪人がうまい。『四十七人の刺客』(1994年)でも吉良上野介を演じられた。

*****

あ、思い出した。子供の頃見た時は、犬たちが肉屋から失敬するソーセージが本当においしそうだったなあ…。
今見てもやっぱりおいしそう!

詳細評価

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