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乱れる

dob********

5.0

恋愛映画として、すでに完成されている。

成瀬巳喜男監督の「流れる」「乱れる」を続けて鑑賞。 成瀬監督の描く女達は「時代遅れ」だ。「不器用」と言ってもいいだろう。 戦後の日本は急速に変化を遂げる。 物資も考え方も、より快適に、より合理的に、と。 その傾向は「流れる」の中の「今時、そういう古い考え方は流行らないもんだよ」 という台詞に象徴されている。 しかしその「不器用さ」こそが極めて美しく、鑑賞者の心を撃つのである。 つまりは女としての誇りを簡単に捨てられないそのひたむきな、凛とした美しさに、 僕は感動を覚える。 成瀬巳喜男の描く女達は「極めて美しい」と手放しで褒めたい。 「流れる」では芸者としての誇りを捨てない女達の生き様と名女優達の共演に、 「乱れる」では高峰秀子の美しさと、恋愛映画の真髄を魅せつけられたかのように、 たった二作で成瀬巳喜男の凄さに、文字通り打ちのめされてしまった感がある。 個人的には「乱れる」の方に強く心を動かされた。 姉として、女としての間の葛藤に揺れる、高峰秀子。 古い、一途な女だ。モラルや世間体を気にする慎ましさ。 弟として、男としての立場に悩む、加山雄三。 ラジカルで、大胆な男。恋愛に一途で真っ直ぐな好男子。 端正な画面に蠢く葛藤と心理描写の巧みな事と言ったら!! ラストの高峰秀子の表情は、幾千の言葉より雄弁だ。 成瀬巳喜男は冷徹な作家だ。感情に流されない、残酷に思えるほどに。  うーん、、凄い!!参ったなぁ。 「めし」「稲妻」「浮雲」etc 成瀬巳喜男の作品群が手招きしている。 ☆僕は喜んで歩み寄ろう☆

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