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乱れる

ぴーちゃん

4.0

ラストは禁じ手だと思う。

加山雄三はなんかもったいないな~。黒澤や成瀬にこうやって使われたんだからもっと偉大な俳優になってしかるべきだったんじゃないかと言う気がする。あまりに多才すぎたのだろうか?  それにしても高峰秀子と加山雄三っていう組み合わせは面白い。キャスティングの妙だと思う。  成瀬はやっぱりこういう嫁、小姑や家の微妙な関係を描かせたら右に出るものはいないね。草笛光子や白川由美もうまい。もちろんなんといっても高峰秀子の演技が凄すぎるんですけどね~。  お話は戦後の苦しい時代に嫁に来て半年で夫が戦死し未亡人になった礼子(高峰)が嫁ぎ先の酒屋を切り盛りしてそれなりにお店にした。母親のしず(三益愛子)長女久子(草笛光子)次女孝子(白川由美)はお店をここまでにしてくれた礼子に感謝こそすれ、内心煙たがってもいた。それに対して義理の弟の幸二は密かに11歳年上の礼子を慕っていた…。昭和30年代も後半になり時代はスーパーマーケットへ移りつつあった。商店街はどこもスーパーの安さに戦々恐々。そんなおり、プータローを決め込んでいた幸二は自分の店をスーパーマーケットにする話を久子の亭主で、会社を経営していて資金力のある森園にしていた。ただし条件があった。それは酒屋をいままでにしてくれた礼子を重役で迎え入れるというものだったが、久子の夫は難色を示していた…。  さすがに成瀬の演出は手堅いのだが…銀山温泉も風情があってよいのだが…。致命的なのは脚本であろう。松山善三の脚本は欠陥があるとオイラは思う。あのラストはないよ~。この人は「名もなく貧しく美しく」でも同様のことをしているもの。高峰秀子の旦那さんでもあるんだけど…。こういう作劇術はイケナイとオイラは思う。幸二の人生って何?という疑問符が残ってしまう。真摯に人間を捉えていない証左ではあるまいか?観客に衝撃をあたえるための道具か?確かにラストシーンの高峰秀子の表情は、映画史にのこるくらいだとは思うのだが…。

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