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無頼無法の徒 さぶ (1964)

監督
野村孝
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3.80 / 評価:5件

山本周五郎名作

「俺はお前を責めているんじゃねえ。俺自身、お前を小馬鹿にしてきた。伸子にふられ、親方達にこづかれた時、心の中で、ざまあみやがれ、と言っていたんだ。もう俺たちには恐いものはない。言ってくれ」「憎んでた。栄ちゃん。許してくれよ。だけど栄ちゃんがいないと生きていけないんだ」「さぶは立派に生きているじゃないか。どもりも治った。俺を見る目も昔みたいな野良犬みたいな上目遣いじゃなくなった。昔とは違う」「昔みたいに甘えたいんじゃないんだ。でも栄ちゃんがいないと生きていけないんだ」「俺もそれが言いたくて手紙を書いたんだ。俺達が考えるほど人間はきれいに生きていけないんだ。俺は遠回りしてそれに気づいたんだ。ここを出してもらったら、お前と経師屋をもう1度やりたいんだ」「栄ちゃん」
栄二は出所して、さぶと一緒に働くことになる。そして栄二とおせいは祝言をあがることになる。しかし盃を飲もうとするおせいは泣き崩れる。「あの布を盗んだのは私です。私、栄二さんが欲しかったんです。幸せが欲しかったんです。この償いは一生かかって晴らすつもりでした。でも盃に映った自分の顔を見ると」泣きながら飛び出すおせい。言いようのない怒りに震える栄二。そんな栄二をさぶが諭す。「何してんだ、栄ちゃん。おせいさんが出て行くぞ。布はおせいさんがやらなければ、おらがやったかもしれない。綿文がやったかもしれない。でも今度のことがなければ俺たちは憎しみあったままじゃなかったのか。それにこんなことは生きていく上で何度でもあることだ。そのたんびに負けていたら、人生に負けることになるんじゃないのか」栄二はよろめくように、おせいの後を追うのであった。

小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込み、その店名が作家名となる。雇主であった店主の山本周五郎氏は、自らも酒落斎という雅号を持ち文芸に理解を持っていた。その為、周五郎を文壇で自立するまで物心両面にわたり支援し、正則英語学校(現正則学園高等学校)、大原簿記学校にも周五郎を通わせている。ペンネームがそのことに対する深い感謝の念があったと思われる。山本の小説に登場する人物は、辛酸を嘗め尽くし、志半ばで力尽きてしまうものが少なくないが、かれらに、生きる上でのヒントとなる、含蓄のある台詞を吐かせる、というのも山本の作風である。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 勇敢
  • 切ない
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