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三匹の侍

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4.0

虚無感あふれる時代劇。

昔、テレビでやっていた時代劇。 毎週見ていたような気はします。 オープニングの部分はやけに印象的だったんだけど、この映画版ではオープニングの部分はテレビ版とは違っていたんじゃないでしょうか。(僕の記憶違い?) 内容は、三人の浪人者が毎回事件を解決するようなものだったと思うのですが、キャラクターも雰囲気も全く覚えていませんでした。 長門勇だけは覚えていたんですが、主役級の二人が丹波哲郎と平幹二郎だったということすら知りませんでした。 三人とも今は鬼籍に入ってしましました。 何しろこの映画自体がもう50年以上前のものなのだから仕方がありません。 丹波哲郎は大霊界などのこともあり、もう、シリアスなイメージはなくなってしまっているのですが、この映画では正当な二枚目正義漢。 平幹二郎はニヒルな男。 長門勇だけはオトボケ役でイメージそのまま。 物語はいくらか《七人の侍》をイメージしたようなところがありました。 藤原鎌足が百姓を演じているせいもあるのでしょうか。 百姓らが、年貢軽減の主張を代官に受け入れてもらうために、代官の娘を人質に立てこもります。 そこへ、丹波哲郎演ずるところの柴右近が通りかかったところから物語は始まります。 このあたり、『椿三十郎』よろしく(まさにここは三船敏郎の雰囲気である)百姓らの行動をひややかに、いささかからかいがちに見ているのですが、次第に百姓らに肩入れするようになってきます。 ただ、物語展開はいささかぎこちなく、必然性や自然さに欠けているきらいはあります、例えば長門勇が百姓を切り殺してしまう下りの必然性はあまり感じられません。 もちろん、十分楽しめる内容ではあるのですが。 ラストの最初の三人の百姓が命を懸け、また、三人の浪人が守り通した直訴状が、結局何の役にも立たなくなる辺りをはじめとして、全体に漂う無力感はもしかしたら60年安保の社会的余波なのかもしれませんね。

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