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暗殺

暗殺

104

kin********

4.0

ネタバレ斬新な時代劇

篠田正浩作品はほかに5〜6本は見ていますが、「少年」が印象に残っている程度で、あまり好きな監督ではありませんでした。しかし本作を観て少し評価が変わりました。凡百の監督とは異なる切れ味鋭い映像作家と思います。  司馬遼太郎原作の力もあるのでしょうが、清川八郎の人物像を異なった視点から浮かび上がらせる「市民ケーン」を彷彿とさせる表現は、堂々と自信に満ちています。カメラマンの小杉正雄氏の名は初めて知りましたが、その画作りもまさにプロの技。俳優たちの演技も時代劇お約束の型を越えていて、飽きません。武満徹の音楽も「さすが」の一言。  清川八郎の本性は果たしてどこにあるのか、その知的興味で最後まで引っ張ってくれます。  ただ最後、私には意図がよく分からず、はぐらかされた気持ちです。「市民ケーン」の“薔薇の蕾”も、人間の不可解に迫る哲学を感じる人もいれば、「何それ」とポカンとしてしまう人もいるでしょう。  この映画にはその“薔薇の蕾”がありません(私が見逃した?)。単に、突飛な映像で観客を煙に巻いただけ、と思えました。でもって、総合評価は星4どまり。

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