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人間に賭けるな

bakeneko

5.0

ネタバレ賭けるのは自分自身!

競輪に造詣の深い、住職で作家の寺内大吉原作の映画化作品で、自身を主人公にしたかのような「競輪上人行状記」と並んで、競輪のスリルに“生きている実感”を確かめたい男女の確執を浮かび上がらせていきます。 競輪場で出会った不思議な女性の助言によって大穴を得ることが出来た商社の営業マンが、彼女の素性を探っていくと、女はヤクザの情婦で、愛人である競輪選手がわざと負けさせられている境遇から実力を発揮出来るように激励していたのだが、若い恋人が選手を脚抜けさせる為に再びわざと負けることを要求して、女同士の意地の戦いの様相も呈していく…―というお話で、ヤクザとの結びつきの頃から“自分を賭けている人間の覇気“に魅力を感じてそれを引き出そうと“人間に賭ける”ギャンブルに嵌った女の妄執を渡辺美佐子が熱演しています。 ギャンブルのスリルに嵌った人間を描いて「天使の入り江」、「勝負師」、「トゥー・フォー・ザ・マネー」等の系列の作品で、珍しいシリアス役の藤村有弘や挟み込まれるロダンの地獄門のショットなどの意表をついた演出も出色の異色作であります。 ねたばれ? 1、劇中に挟みこまれる“ロダンの地獄門”の銘文には、ダンテの“神曲”から 我を過ぐれば憂ひの都あり、 我を過ぐれば永遠の苦患あり、 我を過ぐれば滅亡の民あり 義は尊きわが造り主を動かし、聖なる威力、比類なき智慧、第一の愛、我を造れり 永遠の物のほか物として我よりさきに造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ、 汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ―の文句が刻まれています ー(競輪場で“一切の望みを棄てよ”って言われても…) 2、で、全てギャンブルに注ぎ込んだはずなのに、どうやって保釈金を払ったのかな?

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