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忍者狩り

T.Yoshida

5.0

張り詰めた厳しさを演じた近衛十四郎

公儀隠密である忍びの“闇の蔵人(くらんど)”に脅かされた外様の小藩を、かつて同じやり方で潰された藩の浪人、五郎左衛門がその恨みの念から助けることになり、他の三人の有志とともに闇の蔵人らの忍者と戦う話。 この頃の近衛十四郎は一番油の乗っている年齢で、その鋭い太刀さばきは剣豪スターの名に恥じないもので、大変痛快な印象です。 ついつい、彼の殺陣に目が行きがちですが、ストーリーも非常に手が込んでいて、緊迫したムードで話がどんどん進んでいきます。 ラストでは『七人の侍』のように仲間を失った切なさや虚無感が描かれていますが、『七人の侍』では「勝ったのは百姓だ」と言う形で、空しさの中に明るさや喜びも感じたのに対し、『忍者狩り』では小藩を救うことができて、自分の恨みも晴らしたものの、仲間を失い残ったものは何もないと言う、喜びのない勝利によって言いようのない空しさに包まれます。 問題の真っ暗な蔵の中での最後の攻防も、それこそ「闇の蔵」ですから光がほとんど届かず、決定的なシーンも闇の中でしたから、手に汗握るはらはらした流れが続くのですが、“決めの一瞬”が明らかにはなっていません。 あえてそうしたのでしょうが、これをどのように解釈するかは観た者次第で、個人的には「闇の中の言いようのない不気味さ」が良く理解できました。 近衛十四郎のぎりぎりまで追い詰められたような激しい表情・緊迫した動作は見事の一言に尽きますね。

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