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幕末残酷物語

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5.0

目的―手段の一本道、と

1964年。加藤泰監督。殺戮集団と化した新撰組に新しく入った江波(二代目大川橋蔵)は腰が引けた臆病者だったが、屯所の娘(藤純子)といい感じになる。次第に人斬りマシーンと化していく江波だが、実は大いなる目的を抱いていた、、、という話。ほのめかしと冗談の対象である新選組内部の男色の描き方と、対照的に大胆な男女の絡みの描き方は、その後まったく正反対に大島渚監督「御法度」1999年にも影響を与えているかも。 目的のために手段を選ばぬ人斬り集団となった組に対して、疑問を抱く幹部が次々と粛清されていく。もはや幕府も薩摩も長州も「勤王」という目的なのにどうして殺しあうのかと江波のセリフで「目的」の相対性が暴かれています。しかし江波自身が復讐という「目的」のために新撰組に来ていたことがわかり、つまり男たちは「目的」とは関係なく、とにかく殺しあう。 それがしきりに強調される屯所のなかの一本道(その行き止まりには殺すのもけがらわしい性病の隊士が死ぬまでとらわれている)。目的―手段にとらわれてしまった男たちの末期の道が視覚的に表現されています。そして江波がそこに追い込まれると道の脇に立つ蔵から(つまり一本道の横から)必死で叫ぶ藤純子。一本道とその途中でふと出会ってしまった恋の脇道。すばらしいセットです。抵抗しながらキスしてしまう藤純子の大きく見開かれた目にも注目。

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