さびしいときの懐石御膳
- wac***** さん
- 2007年1月3日 23時37分
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山本周五郎先生の短編オムニバス(三話構成)です。
すべて中村錦之助が(侍-職人-職人)主役を演じています。
それぞれに人間の情を描いた作品です。
一話目は部屋住みの武士の恋愛を中心としたもの、
二話目は情念に囚われた女房から一旦は逃れながらも悼む職人
三話目は貧困にあえぐ職人と家族の愛情譚です。
このなかで自分がもっとも好きなのは、一話目の冷飯(冷飯侍)
です。
少々子供っぽいというか、学問馬鹿というか、憎めない若侍を
中村錦之助が演じていますが、これが実にかわいらしいと言うか、
ついつい応援したくなるような母親に対する甘えっ子ぶりです。
武家に生まれましたが、上に兄が多く、仕官もままならないのですが、
(当然自家に嫁を貰い家督相続はできない)
当人は婿入りとかいう気持ちは無く、ただただ古書を集め、読んで
分類することのマニアで部屋住みのまま生涯を送ろうとあきらめ
気味です。そんな彼が恋に落ちるが、彼女は…
という話ですが、中村錦之助(さん)はその心が繊細でもろく、傷つき
やすいという人物を演じるとすごいなあと思います。
欲得よりも、「どうせ俺なんて…」とまず自分が引いてしまう、
みたいな感じは何とも言えずいいです。
自分は江戸情緒趣味とか無いのですが、はまりました。
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