レビュー一覧に戻る
網走番外地

くそげーまにあ

4.0

ネタバレその名も網走 番外~地~

東映の大ヒットシリーズ。(主題歌も) 第一作目だけはモノクロです。(予算の都合で) 監督はエログロバイオレンスの巨匠「石井輝男」 とはいえこの作品は驚くほどに見どころが沢山あるシリアスな「人情劇」だったりします。師匠、渡辺邦男ゆずりの娯楽に徹した内容をクレイマーの「手錠のままの脱走」を下敷きにして、同じく師匠の成瀬巳喜男のように格調高く描く。 ヤクザものの建さん(橘真一)は、渡世の義理からの出入りで人を殺し、懲役三年の受刑者。 網走刑務所で雑居房にいれられ、曲者の受刑者たちと毎日を過ごすことになる。 牢名主の「依田」や同じく新入りの粗暴な「権田」、小悪党の「大槻(田中邦衛)」、長期受刑者の老人「阿久田(嵐勘十郎)」といった面々と対立したり、仲間として助け合ったりという受刑の日々。 そんな中で橘の母親が倒れたと妹から手紙が届く。 自分たち兄弟を食わせるために横暴な地主の後妻となった母。 橘は穀潰しあつかいして威張る義父の横暴から家族を助けようと食い扶持を減らすために家を出てヤクザになったのだ。 親身にしてくれる保護司の「妻木(丹波哲郎)」を信じて、焦りながらも残りわずかな刑期を過ごそうとするが、橘を気に食わない者たちはそれが一層気に食わずいやがらせをする。 耐える橘に嫌がらせをしていた依田らの手が緩む。 早々はない脱獄チャンスがやってくるので手を貸せと誘う依田たち。 妻木を信じようとするが仮釈放は差し戻されるばかりで悩む橘。 しかし、手錠で繋がれた権田に無理やり輸送トラックから突き落とされ、望まざる脱走に手を貸すことになってしまうが…。 権田は橘が裏切れないように用意周到に前持って調べておいた妻木の家を襲い、食料を奪い、妻木の妻を殴り倒して怪我を負わせる。 「これで妻木がお前を殺しにくる」 権田の陰謀どおり、妻木は橘に裏切られたと思い、怒り狂って追跡を始めるのだった。 「仮釈放が決まったというのに。やはり獣だ。射殺もやむなし」と。 そもそも同時上映の「関東流れ者」の添え物として作られた丹波哲郎が看板の低予算90分ほどの小作でしたが、予想に反しての大人気娯楽シリーズとなりました。 今思われている「限界まで耐える建さん」ではなく、熱血漢で喧嘩っ早くて情に厚い「若くて熱い建さん」です。 看守を馬鹿にして「ふんどし踊り」を始めたりといったひょうきんさもあります。 依田が足手まといだからと殺そうとする老人がよぼよぼだが時折、鋭い眼光を見せ、よりによって「自分の弟分だ」と嘯いていた殺人鬼だったりとか、嵐勘十郎の迫力ある名演も光ります。 田中邦衛の胡乱さもこのころから変わりませんし、依田の手下に潮健児も出てます。 ラストがあまりに人情劇かつ、都合が良すぎる気もしますが…あくまで娯楽映画ですので。 見て損のない傑作です。

閲覧数428