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網走番外地

Kurosawapapa

5.0

知られざる“健さん”の魅力☆

本作は、全部で18本も作られる「網走番外地シリーズ」の初作。 監督は、初期の高倉健を育てた日本映画界の異端児・石井輝男。 ハリウッド映画「手錠のままの脱獄」をヒントに本作を作り上げ、シリーズのヒットを連発させた。 その後、「新網走番外地シリーズ」として降旗康男監督らが引き継ぎ、降旗・高倉コンビの原点となっている。 網走刑務所への収監、刑務所内での確執、逃避行などが描かれた本作。 ヒロイン不在で、男の囚人しか出てこない映画じゃ当たるわけがないと、 東映は予算を削減、カラーの予定をモノクロに変えたそう。 しかし、その変更によって、 ・真っ白な雪と黒い囚人たち ・暗い刑務所内 ・曇った空に真っ黒なカラスの群れ など  結果的に “迫力” ある映像が生まれている。 キャストは、主演の健さんを中心に、 ・日本映画界の大御所・嵐寛寿郎 ・野太い声、真っ黒い顔をした野獣・南原宏治 ・相変わらずキザな田中邦衛 ・霊界の宣伝使・丹波哲郎 ・恐い顔して、強いのか弱いのかよく分からない安部徹  本作で、主人公を突き動かしているのは、  “おっかさんへの愛” 。 過去をカットバックさせ、 幼少時の苦悩、おっかさんへの想いを綴る。 映画の途中に、度々挿入されている健さんの歌が、なんとも渋い↓ 「 ♪一人暮らしのお袋に 極道重ねた罰当たり   すまぬすまぬと手をついて 涙で祈る番外地 」 「 ♪人里離れた檻の中 この世に地獄があろうとは   シャバのあの娘にゃ分かるまい 知らなきゃ俺らが教えましょう 」 「 ♪ドスを片手に殴り込み 切った張ったのこの渡世   どうせ俺らの行く先は その名も網走番外地 」 当時、この歌(「網走番外地」歌:高倉健)は、  “刑務所を美化している” という理由で、放送禁止になったそう。 また、本作のキャッチコピーはこう↓ 「 魔の大雪原に沈むか、追撃の銃弾にのけぞるか!  野獣二匹が命を賭けた脱獄24時間 」 確かにそんな感じなのだが、 途中、 “コミカルシーン” や “下ネタ” も存在。 ・健さんによる田中邦衛のモノマネや、阿波踊り ・極寒ゆえの男同士の抱擁(健さんと南原宏治) ・小便に付き合わされた後の仕返し など、 クライム・アクション一辺倒に収まらないのは、石井監督のサービス精神を伺わせる。 本作には、 不器用 で 強い 健さんだけではなく、  弾けるシーン、 ユーモア、 照れ、 笑い、 引き締まったお尻まで、 とにかく健さんの魅力を存分に堪能できる作品になっている。 昔の映画館では、健さん主演の映画が上映されると、  「異議なし!」 という掛け声が飛んだ。 自分にとっても、この映画、 「異議無し!」 な作品だ☆

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