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にっぽん泥棒物語 (1965)

監督
山本薩夫
  • みたいムービー 6
  • みたログ 42

4.17 / 評価:18件

可愛い泥棒、腕利き歯医者、悪者刑事

  • 百兵映 さん
  • 2014年6月13日 13時15分
  • 閲覧数 756
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 同じ三国連太郎氏主演の『飢餓海峡』を思い出した。これは、青函連絡船転覆事故に偶然出くわして、秘密を抱えて逃亡したまま、やがて社会的な地位を築く。しかし思いもかけぬことから旧悪が明らかにされて自滅に至るという犬飼(三国)の物語。

 本作『にっぽん泥棒物語』も、『泥棒』でもあり偽歯科医でもある前科者が、地域の名士にまで成り上がったものの、松川事件現場に偶然に居合わせていたことから、証言台に立ち自らの旧悪も明らかになり自滅に至るという義助(三国)の物語。

 原作者・製作者は別人でありながら、共通点がいっぱいある。どちらも、
 ・大事故に、偶然出くわし、それが後の人生を狂わせる。
 ・絶対知られてはいけない犯罪歴がある。
 ・悪人であるのに、見る人からは共感され応援される。
 ・三国連太郎氏本人かと思わせるリアリティーがある。

 『飢餓海峡』のレビューにも書いたのだが、―― なんとも重たい。誰にだって、他人には「分からない」こと、分かられたくないこと、分かられたら最後、生きては行けないことがある。田舎の元・警察官が「これは極貧の味を知らない者には分からないのであります」という。ではどうするか。いや、本当に分からない。この作品の結末も、そんじょそこらのノー天気な模範(善良?)市民に安っぽく裁いていただきたくはない。――

 私は、義助から歯の治療をしてもらいたいとは思わないけど、『泥棒』の罪は忘れてやっていいのではないかと思う。時効だ。実害はない。

 松川事件に出くわしたことから派生する個人史であるが、松川事件そのものがテーマではない。当時も、そして今も、過去の後ろめたい秘密を持って生きている → その裁きや贖罪に苦しんでいる。そういう人々が多い、いや、実は皆がみなそうなのだ、ではどうするかって、それは「分からないのであります」という話に読めた。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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