清作が全く好きになれません
- nih***** さん
- 2015年6月16日 1時24分
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別に俺が清作を好きになる必要は全くないんだけどさ。
戦争で名誉を上げて帰国し、村を活気づけるために鐘を高台に設えて、毎朝それを鳴らして村人を叩き起こす(ヒロイズムでそんなことをしている)清作という人間が映画のメインモチーフとして良いと思えなかった。
で、若尾文子と出会って関係を結ぶ過程も具体的に描かずに気づいたら若尾が惚れているという具合なので、「こんな奴の何がいいんだよ?」という問題がどうしても心に引っかかってしまう(そもそも田村高廣とか雷蔵とかが持つクソ真面目な佇まいが俺は好きじゃないんですが)。ちゃんと具体的にどこがどう好きになっていくのかは芝居にするべきです。
新藤兼人の脚本っていつもこの手の雑さで引っかかってる印象。師匠の木下恵介譲りの荒いドラマなんだよな。
あと、二人の恋に対する障壁を若尾がかつて妾をしていたことと設定してあるけど別にそれはそんなに大した障壁として機能しない。
セッティングが気に入ってないので、清作の目は片目だけ突いたんじゃダメだったのかしら?というような意地の悪いツッコミが浮かんでしまう。
頭の弱い親戚っていうキャラは必要ですか?と(新藤兼人っぽくてこういうのも嫌い)。
あとさ、こういうストーリーって最後には若尾文子が負けなきゃダメだと思う。目を潰して清作の愛を得ることが出来たと思った瞬間に、何かに足元を救われて全てを失うとすべき。
ラストの二人の会話も説教臭くて俺は嫌い。増村は根本的に新藤兼人とは合わないと思うんだけど何本も一緒にやってるんだよな(『華岡青洲の妻』なんて傑作もあるけれど)。
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