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けものみち (1965)

監督
須川栄三
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3.89 / 評価:18件

歩むような展開で、薄幸な女の運命を描く

  • le_***** さん
  • 2020年5月31日 23時00分
  • 閲覧数 462
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

監督:須川栄三、原作:松本清張、脚本:白坂依志夫、須川栄三、撮影:福沢康道、編集、黒岩義民、美術:村木与四郎、音楽:武満徹、主演:池内淳子、池部良、1965年、150分、白黒、配給:東宝。

この映画以外に、三度、テレビドラマ化されている。
映画版の、成沢民子(池内淳子)、小滝(池部良)、鬼頭洪太(小沢栄太郎)、渡部米子(大塚道子)は、テレビ版ではそれぞれ、
1982年版:名取裕子、山崎努、西村晃、加賀まりこ、
1991年版:十朱幸代、草刈正雄、大滝秀治、江波杏子、
2006年版:米倉涼子、佐藤浩市、平幹二朗、若村麻由美、が演じている。

成沢民子(池内淳子)は割烹旅館・芳仙閣で住み込みの仲居をしていた。夫は脳軟化症のためほとんど寝たきりになっており、民子が働かざるを得なかった。だが夫は、仕事を終え、明け方帰宅する民子をねぎらうどころか、暴言を吐くのみであった。
芳仙閣を定宿にしているニュー・ローヤル・ホテルの支配人・小滝(池部良)は、民子を見初め、一計を案じる。それは、それなりの器量がありながら貧困に喘いでいる民子に、もっと豊かな生活を始めてみないか、という誘いであった。その誘いを呑み、民子は小滝と示し合わせ、自宅に火を放ち、夫を焼殺させる。火事は一応、失火として落着する。
民子は小滝から、弁護士・秦野(伊藤雄之助)を通じ、鬼頭洪太(小沢栄太郎)を紹介され、鬼頭邸に着くと、米子(大塚道子)に屋敷内を案内される。民子のしごとは、政界のフィクサーと呼ばれる鬼頭の身の回りの世話と「床の相手」をすることであった。一方、警視庁捜査一課の久恒(小林桂樹)は、火事について民子の故意を疑い続けていた。・・・・・・


その後の和風の品のよい女性像を演じた池内淳子のイメージとは異なり、犯罪を犯し、不倫に走り、よこしまな道へと入る薄幸な悪女を演じている。女中のころは清楚なメイクアップであったが、鬼頭邸に出入りするころになると、眉の端を吊り上げて書くなど、悪女らしいメイクに変わる。

一般に、松本清張や山崎豊子の原作は、日本社会の暗部にメスを入れたものが多く、それだけに観る側は興味をそそられ、登場人物も多く、映画化してもヒットを見込める。鬼頭がどれほどのことをしているのかについては断片的にしか出てこないが、むしろ、怪物的な存在として表現され、民子の導かれる「けものみち」を支配しているという印象を強くすることに成功している。そしてその「けものみち」には、魑魅魍魎が跋扈しているのである。

ストーリーは、歩むような一定の速度で進み、悪事や悪だくみが、いかにも日常のなかに平然とどこかで進行しているように思わせることに成功している。二時間半に及ぶ作品だが、長さを感じさせない。
カメラも、室内シーンが多いので、カットを多くし、うまくつないでいる。上から見下ろすように撮ったり、鬼頭と民子がもつれるシーンや久恒が民子に絡むシーンでは、カメラが近くから舐めるように動き続ける。民子の家が燃えるシーンやラストの風呂場の火災シーンでは、炎をうまく合成させている。
また、茶室での民子と米子の取っ組み合いは、名の通った女優同士に掴み合いをさせるシーンとして、その後の嚆矢となるものであろう。
往年の多くの俳優の演技合戦が見られるのも魅力だ。

音楽は、当時、前衛音楽の作曲家として知られていた武満徹によるもので、冒頭から、不気味でサスペンスタッチの音楽を楽しむことができる。

詳細評価

物語
配役
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音楽

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