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明治侠客伝 三代目襲名

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5.0

やくざの分裂と恋愛

1965年。加藤泰監督。この手の任侠モノではずばぬけた傑作。祭りの際中に二代目が刺された大阪のやくざ&土木会社。世間知らずの息子ではなくやくざ渡世に通じた子分(鶴田浩二)が三代目を継ぐことに。土建業界の争いや娼婦への恋がからんで、すばらしい映画になっています。 父から息子への相続ではなく、分裂した相続で実利も人情も残そうという物語。もちろん邪魔が入るわけですけど、そのおかげで邪魔された鶴田浩二の堪忍袋の緒が切れる!一人で乗り込むラストの斬り合いは迫力こそありませんが、敵のやくざに身請けされてしまった娼婦(藤純子)とのメロメロな再会へとつながるのがたまりません。後の「お竜さん」もいいけれど、ぐにゃぐにゃしていて鶴田浩二に顔をなすりつけるように哀願する藤純子もいい。うなだれる藤純子。もうひとり忘れてはいけないのは、第三者でありながら巻き込まれる渡世人の藤山寛美。そして鶴田浩二の普段のたれ目と殴り込みの時に電車から顔出す時のりりしさ。 鶴田浩二と藤純子の恋の場面がとにかくすばらしい。やくざ世界のあれこれはつけたしに見えます。映画では直接映せないあれの場面を室内のすばやいカットでつなぐ典型的な隠喩的映像と、二代目の死に目に会えないという物語の隠喩的語りを重ねるところも貫禄があります。すばらしい映画。

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