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惜春

惜春

95

bakeneko

5.0

ネタバレ細“紐” 繁盛記

平岩弓枝原作の映画化作品で,東京上野の老舗帯紐屋の三人姉妹の恋人と遺産相続を巡る葛藤を,家業に情熱を燃やす長女を主人公に描いた文芸作品であります. ちょっと“もたもたした展開”と”ベタな悪役描写”に―“もうちょっと上手く作れないかな(惜しいな~)”―と思わせる出来映えの作品で,(いつものように中村登の作劇は鈍重で人間の捉え方も単純&表層的な部分がありますが)それでも, 帯を締める紐についての詳細な蘊蓄&様々な着物の美, 三姉妹:新玉三千代,香山美子,加賀まりこのそれぞれの個性と美しさ, 上野の池,京都,奈良,丹波の風景の日本情緒, 夕陽の逆光,森の光,湖畔の風景をバックにした画面構成と色彩の上手さ 等で,十分“眼福もの”の作品であることも確かで, 特に新玉三千代の美貌をアップで見るだけで至福の時を過ごせる映画であります. 老舗の暖簾を守るべく孤軍奮闘するヒロインを応援する作品で,新玉の清楚さと生真面目さに見惚れながら,日本の花鳥風月の美観をバックに展開する物語を見つめる作品であり,後年の人気TVシリーズ“細うで繁盛記”を予見させる映画でもあります. ねたばれ? 妾の性格がわかっているならば,あんな思わせぶりな遺言を残しちゃだめだよ.

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