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上意討ち 拝領妻始末

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5.0

素晴らしい、の一言

まず、画がいい。空気を描こうとする抜群のロケーション力、画に切り取るカメラワーク、カメラの中でリアルに息づかんとする役者陣、抜かりなく生活を描かんとする小道具・大道具。 「怪談」で唸らされた、あの緊迫感が、必ず始まるであろう壮絶な殺陣を予感させながら、キンキンとこちらの視線をとらえて離さない。 おもわず、ああっとため息を漏らすほどの、黒白の美しさ。 50年以上前の作品と思われない、語られる物語も、一強独裁のような現在の政治情勢の不条理、権力者の身勝手を予言するかのように描かれ、そして抗議し、しかし、強権力の前には敗れ平伏さなければならない、主権者でありながら弱い国民の悲哀までも・・・。これが、50年前の作品か?と疑いたくなります。 日本映画はいったい何を失ったのか?その答えのすべてがこの作品に凝縮されているような。 この作品を観ては、しばらくは新作日本映画を観る妥協は持てなくなるかもしれません。 小林監督作品を、探しつつ、もう少し鑑賞させていただきたくなりました。 ほんとうにおすすめの1作です。

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