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華岡青洲の妻 (1967)

監督
増村保造
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3.90 / 評価:40件

対決する女

  • Vampyros Lasboss さん
  • 2016年2月7日 18時30分
  • 閲覧数 800
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

2014年キネマ旬報オールタイム・ベストの女優部門1位の高峰秀子と2位の若尾文子、そして男優部門3位の市川雷蔵の共演という贅沢なキャスティング。
青洲の父直道を演じる伊藤雄之助の怪演や、妻加恵の乳母を演じる浪花千栄子など名優が脇を固める。
クレジットは、“華岡青洲の妻”を演じた若尾文子が先で高峰秀子が後に来るし、加恵の目線で描かれた作品であるが、『華岡青洲の母』というタイトルでも違和感がないくらい高峰の演技力、存在感が突出している。

映画は、紀州の医師華岡青洲が(記録が残っている上では)世界初の全身麻酔手術を成功させるが、その偉業の裏には彼の妻と母親の献身と確執が隠されていた、というもの。

直道の名代として加恵を青洲の嫁にもらいに来た於継(高峰秀子)を見て、加恵の父が妻に「もらった病は重くなる」と言う場面がある。これは、於継が直道の大胆で図々しい性格に影響されて、武家の娘を田舎医者の倅の嫁にと、当時としては大胆を通り越して大それた申し出をしたことを言っている。
加恵も於継の“病”が伝染したと見えて、青洲の愛情を得んがためか於継に自尊心を傷つけられた仕返しのためか、姑の於継に反抗したり競り合ったりするのだ。
本作は、青洲の妹小陸の言葉により男の狡さを描いたものであるという解釈もある。麻酔薬を完成させるために妻と母を犠牲にしているのにも拘わらず青洲の苦悩が一切描かれていないので一理ある。
しかし、これは、女同士のプライドを賭けた対決と情念の凄まじさを描いた増村の真骨頂を発揮した映画だと思う。


日本映画界の名カメラマンといえば、真っ先に思い浮かぶのは宮川一夫だが、本作の冒頭と結末の曼陀羅華が美しい名シーンを撮った小林節雄だって負けてはいない。
宮川一夫は『刺青』で、増村と組んで素晴らしい仕事をしているが、この時はカメラの前に人が多すぎて増村はカメラのファインダーを覗くことができなかったという。
小林節雄が撮影を担当した映画では、増村はファインダーをずっと覗きながら演出していたそうだ。

動物実験でネコたちに曼陀羅華の煎じ薬を飲ませて、死なせてしまったり、ふらふらと前後不覚の状態にさせる場面がある。
原田美枝子によると『大地の子守歌』の撮影では、主人公が猟で捕ったことになっているウサギは、裏でスタッフが石で殴り殺したというから、リアリティを追究する増村のこと、本作のネコたちも薬を投与され何匹かは殺されたのかもしれない。
その点、ネコ好きとしては★1つ減らしたいが、もともとが★5個では足りない映画なのでそのまま★5個とする

詳細評価

物語
配役
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音楽

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