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稲妻 (1967)

監督
大庭秀雄
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3.00 / 評価:3件

15年経て変わった東京下町

  • bakeneko さん
  • 2017年12月19日 10時26分
  • 閲覧数 195
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

成瀬巳喜男の大傑作「稲妻」を15年後に大庭秀雄監督でリメイクしたもので、前作と同等の出来映えは無理ですが、高度経済成長の日本事情を作劇に反映させて、なかなかの良作となっています。

昭和11年(1936年)に書かれた林芙美子の同名原作では、ヒロインの職業は電話交換手で、無職の兄は満州の新京(満洲国の首都:現在の中華人民共和国吉林省 長春市)へ一旗揚げに行くと放言し、次女は夫の死後に神田にカフエを出しますし、裕福な両国のパン屋は渋谷に喫茶コーナーのある新式店舗を進出させる…と戦前の庶民&風俗状況を描き出していました。
成瀬巳喜男の「稲妻」(1952年)では、戦前の東京を戦後の復興期に置き換えて、ヒロインの職業もバスガイドに変えられていますが、物語の骨子は変更せずに戦前と変わらない肉親の情と庶民感覚を上手に掬い取っていました。
本作は成瀬版の更に15年後の1967年の東京を舞台にしていて、ヒロインは原作とほぼ同じ企業の電話交換手に戻っていますし、やり手のパン屋:藤田まことは当時建設ラッシュだったラブホテルやソープといった歓楽施設を建てて儲けようとしています。そして、街並みや交通手段も近代化していて、人間が比較的少なくてゆっくりとした時が流れていた1952年とは違った喧騒とスピード感も映画に反映していますが、物語の骨子はやはり同一で、寧ろ戦前や戦争直後よりも稀になった“みんな父親の違う4兄妹”という設定が際立っています。

成瀬作品と比較するとキャストは、
(ヒロイン:三女)高峰秀子→倍賞千恵子
母:浦辺粂子→望月優子
長女:村田知栄子→稲垣美穂子
長女の夫:植村謙二郎→穂積隆信
次女:三浦光子→浜木綿子
長男:丸山修→柳沢真一
両国のパン屋:小沢栄太郎→藤田まこと
(次女亡夫の妾)中北千枝子→宗方奈美
となっていて、
特に母役の望月優子は成瀬版よりも若く“女”の部分がまだ枯れていませんし、
両国のパン屋は小沢栄太郎の粘着性→藤田まことの無神経さと変わっている点が高度経済成長期の若手事業家を感じさせます。
また、妾役の宗方奈美の下手に出ながらも泣き寝入りしない強かさは、成瀬版の中北千枝子と正反対である…など、それぞれのキャラクターが役者の個性や時代を反映してマイナーチェンジしているところも見所ですし、
特殊効果が発達して稲妻も盛大な増量サービスとなっています(これはやり過ぎかな~)。

登場キャラ全てが実在するようなリアリティと性格の掘り下げに唸らされた―成瀬版よりも、かなりキャラクターのディフォルメ&生臭さが増量されているリメイク作で、ヒロインの倍賞千恵子も頑張っていますよ!

ねたばれ?
1、どちらの映画版も原作をかなり脚色しています(最大の変更点はヒロインを美人にしたことでしょう♡)ので、映画を気に入られた方は小説も読んでみられては?
2、貧乏傘屋でも妾を持てたんだ~(いい時代だったのかなあ…ごっご免なさい!)

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