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乱れ雲 (1967)

監督
成瀬巳喜男
  • みたいムービー 8
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3.76 / 評価:36件

つきまとう過去・金・カップル

  • 文字読み さん
  • 2012年3月2日 23時34分
  • 閲覧数 636
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

1967年。成瀬巳喜男監督。通産官僚の夫をもつ女(司葉子)は夫のアメリカ栄転が決まり、妊娠もわかって幸せの絶頂にいたが、交通事故で夫を失ってしまう。運転していた男(加山雄三)は誠実に対応するが、なぜか二人は偶然の遭遇を繰り返す。そのたびに夫のことを思い出してつらく当たる女だが、酔ってつらく当たったのを反省したり、体調を崩した男を看病したりしているうちに気持ちが動いて、、、という話。これでもかとつきまとってくる過去のしつこさが見どころです。

男が青森に転勤になれば、女は実家が十和田湖の旅館だったことがわかってそこに里帰りすることになる。お互いに無関係になろうとしているのになれない二人。人間関係をチャラにしたまま結びつける「金」でさえ、この映画のなかでは無効化の力はない。男が送る金は女にとっては終始、元夫を殺した男からの金である。だから金を見るたびに元夫のこと、事故のこと、送ってくる男のことを思い出す。

女につきまとう過去は「物質的」につきまとう。元夫を空想的に思い出すだけではなく、ラストでは車の事故に会い、救急車で運ばれる夫とそれを見送る妻を目撃する。さらに、女には旅館を経営する義理の姉(森光子)とその相手(加東大介)とか、泊り客のカップルとか、とにかく男女一組のカップルがつきまとう。

つきまとってくる過去と金とカップルをはねのけて決断しようとすれば、それは無理だといわんばかりに電車が目の前を通り過ぎる。(成瀬映画における暴力的な電車)。監督の遺作にふさわしいいい映画ではないか。

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