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十一人の侍

すけきよ

3.0

ネタバレ馬の蹄の音の妙

所属する藩が、将軍の身内の理不尽な理不尽な仕打ちによりお取り潰しになったことへの復讐(仇討打ち)を するという話であり、今となっては古めかしさが否めないなぁと感じました。 ただ、面白かったのは、今は亡き名優たちがその魅力を余すところなく発揮していたところです。 大友柳太朗さんの存在感のある形部ぶりや、西村晃さんの知恵の働く、溌剌とした浪人ぶりは特筆に値すると思います。主役よりもむしろこのふたりの存在がなかったらちょっと印象の薄い作品になったのかなと感じました。 また、印象的なのは峠で斎厚一行が騎乗で駆け抜けるシーンでした。 白黒画面の霧の中、遠くから次第に聞こえてくる馬の蹄の音を強調することで、 待ち伏せする侍達の心の高揚感と、不安感をを大変見事に演出していると感じました。 結果、私にとってラストの切り込みシーンよりもむしろこのシーンの方がインパクトがあったのじゃないかな? このシーンを見て、一度は見ても損はない映画ではないかと思いました。 ストーリー 館林藩主・松平斉厚の身勝手な振る舞いをたしなめた忍藩主・阿部正由がその場で斉厚に殺される。 この事態に、忍藩次席家老・榊原帯刀は老中・水野越前守に訴状を送るが、 斉厚が将軍の弟であることから逆に正由に非があるとされ、忍藩は取り潰しに追い込まれる。 幕府の対応に怒った帯刀は主君の仇を討つために親友でもある仙石隼人に斉厚暗殺を命じる。 一方、義憤に駆られた忍藩藩士・三田村健四郎ら6名は、 急死した兄に代わって仲間に加わったぬいと共に独自に斉厚を討とうとするが、 寸でのところで隼人に止められ、ぬいを除いた6名は帯刀に切腹を命じられる。 しかし、これは彼らの覚悟を試すものであり、 隼人の眼鏡にかなった6名とぬいは暗殺隊に加えられることになる。 更に金庫番として勘定方の市橋弥次郎を加え、帯刀との連絡役として最初に暗殺隊に加わった 藤堂幾馬と合わせた10名は忍藩を離れ、江戸に向かう。三田村らは切腹して果てたことにされ、 また隼人はぬいと駆け落ちを装い脱藩する。 脱藩した隼人を信じて待ち続ける妻・織江の弟・喬之助は江戸で隼人がぬいと暮らしていると知り、 隼人に怒りをぶつける。それでも隼人を信じる姉の姿に、喬之助は覚悟を決め、 隼人に姉を託す手紙を残し、単独で斉厚を討とうとするが、返り討ちにあう。 喬之助の行動に怒った斉厚は忍藩の即時取り潰しを叫ぶ。 この事態に館林藩家老・秋吉刑部は、忍藩存続の可能性があるかのように 帯刀に思わせることで暗殺計画を取りやめさせようと老中・水野に働きかける。 刑部の計略通り、水野の言葉を信じた帯刀は、斉厚暗殺の準備を進めていた隼人らに 暗殺計画の中止を伝える。 直前の計画中止に三田村らは怒りを露にする。 そこに、水野に騙されていたことを知って腹を切った帯刀が現れ、詫びの言葉とともに果てる。 怒りに震える隼人らは斉厚を斬りに向かう。 豪雨の中、壮絶な斬り合いが始まる。敵味方双方が次々に果てて行く中、遂に隼人は斉厚を討つ。 しかし、そこに現れた瀕死の刑部と相討ちになる。 最後に生き残ったのは11人目の刺客となっていた浪人・井戸大十郎だけだった。 井戸は斉厚の首を取るとその場を後にした。すべては齊厚の短気な気性から生まれた、無意味な死闘だった。

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