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人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊 (1968)

監督
小沢茂弘
  • みたいムービー 16
  • みたログ 30

3.58 / 評価:12件

是非観て頂きたい映画

  • anticipate1960s さん
  • 2015年5月7日 3時03分
  • 閲覧数 739
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

回天を扱った映画としては、宇津井健主演の新東宝「人間魚雷 回天」が有名だが、こちらもまた必見である。
東映の戦争映画というと個人的には俳優らの力みが強過ぎる感も無きにしも非ずだが、この映画は丁寧に作り込まれていて、じっくりと映画の中の世界に浸る事が出来る。

私は戦後20年ほどして生まれた世代であり、戦争というと、戦争中小学生だった親や、出征した伯父達から実戦についての話を聞いた事や、文献で調べた程度でしかなく、聞いたり読んだりする私は、所詮は銃弾も飛んで来ない、空襲も無い安全地帯で想像を巡らすだけである。
つまり、「知ったつもり」にしかなれない訳である。
そして、映画や小説は、事実をベースにしていてもこれまた所詮はフィクションであるから、観たり読んだりする際にはよくよく注意をしなければいけないとは心得てはいる。

その点、この映画では、実在の人物の変名(池辺良演じる指揮官片山少佐は、恐らく指揮官板倉光馬少佐の事であろうとか)、または実在の人物をベースにした架空の人物らの動きや心の葛藤を通じて、回天という特攻兵器の搭乗員と、彼らを取り巻く人々の当時の気持ちに、思いを馳せる事は出来る。
そして、兵学校卒の士官のよく言えば一途さ、悪く言えば愚直さと、予備学生出身士官のよく言えば広い視野、悪く言えば斜に構えた視点の違い、そして予科練出身の下士官らの純真さと悲しみが、ストーリーとしてとても丁寧に描かれている。
立場が違う彼らに共通していたのは、「義務感」であった。
ここで俺たちがこういう事をしないといけない、という義務感であった。

悲壮ではあるが、安っぽいお涙頂戴や、開き直った英雄礼賛、上から目線の反戦主義は、ここには無いのだ。
ご覧になる方々も、どうか、彼ら登場人物らが置かれた立場を可能な範囲で思い遣って頂きたい。
彼らがなぜそこまでやろうと思い立ったか、或いはそうせざるを得ないように仕向けられたのか。
戦後70年間、自らは戦争をしてこなかった日本という安全地帯(自然災害という脅威には常に曝されているが)で、好き勝手に結果論で彼らを蔑んだり、或いは憐れむのは間違っている。
レイテ沖海戦での乾坤一擲の特攻作戦を、その後もダラダラと続けた軍上層部への批判はあって然るべきだが、文字通り自己を犠牲にして国(つまり、イコール家族であり、郷土)を護ろうとした彼ら特攻隊員は、顕彰されるべきである。

そして、今我々現代日本人は、彼らの想いを受け止めて、それぞれの人生を日々一生懸命に精一杯生きているかを、今一度考えてみてもいいと思うのだ。

「ここぞ」という場面で自分の命を捨ててかかった彼らへの回答は、彼らに対して恥ずかしくない生き方をする事である。
航空特攻を開始した大西海軍中将の遺書にもあるが、平時においてよく特攻精神を堅持して仕事にあたれば、少しずつでも我々が住むこの国をよくしていけるに違いないと思うのである。

さて、ストーリーの骨子もさる事ながら、この映画は、訓練シーンや、回天の設計、組み立てシーン等の見どころも多い。(どれだけ実際に近いのかは分からないが。)
また、予備学生出身の潮田少尉を演ずる伊丹十三の演技が、任侠モノのスターらの豪快な演技の中で、ユニークで味わいがある。
それらも含めて、是非一度、観て頂きたい映画である。

詳細評価

物語
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演出
映像
音楽

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