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樹氷のよろめき

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3.0

精神的愛と肉体的愛

北海道を舞台に、女と恋人、女の元恋人が繰り広げる三角関係のドラマ。「水で書かれた物語」以降、日の光や暑い夏のイメージが強い吉田作品であるが、本作はタイトル通り雪・氷の世界が展開。札幌→支笏湖→室蘭と移動し、ニセコで広がる一面の銀世界は見応えあり。室蘭の製鉄所の場面での、下から吹き上げる煙の不気味さも吉田監督らしい。 テーマは、「精神的愛と肉体的愛の複雑な関係」だろうか。かつて男の不能が原因で別れた百合子(岡田茉莉子)と今井(木村功)。二人に欠けていたのは肉体的絆。時を経て再会した百合子と今井は徐々に関係を取り戻し、雪のロッジでついに肉体的に結ばれる。肉体的絆を成就したことにより、かつてない深まりをみせる二人の精神的絆。 対照的に肉体的な繋がりはありながらも、百合子は恋人・杉野(蜷川幸雄、若い!)に精神的な絆を見出せない。その杉野も百合子との心理的繋がりの薄さを感じているのだろう、今井に対して百合子との肉体的繋がりを勝ち誇りながらも、二人のかつてのプラトニックな愛の形に嫉妬する。そしてそれが原因で、ついには不能に陥ってしまうのだ。精神的繋がりの欠如がもたらす肉体の不能。 精神的愛と肉体的愛の複雑な絡まりあい、それに翻弄される人間たち。ラスト、百合子の心が離れたことに絶望し、杉野は雪の崖から飛び降りる。冷たくなった杉野の遺体を見て慟哭する百合子。それは不毛な愛に散った男に対する悲しみの涙なのだろうか。 終始流れる単調なテーマメロディが煩わしく、それがマイナス点。「よろめき」ってタイトルは時代を感じさせますね。

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