レビュー一覧に戻る
樹氷のよろめき

********

5.0

愛の無根拠

1968年。吉田喜重監督。高校教師の男(蜷川幸雄)と美容室を経営する女(岡田茉利子)は旅行に出かけるが、行きずりの関係から始まった愛はすでに煮詰まっている。女は妊娠したと思いこんでかつての恋人(木村功)に堕胎への付き添いを頼むのだが、、、という話。ノスタルジーたっぷりだが軽快な音楽に乗って、冬の北海道での三角関係の悲劇が描かれる。 今の男→かつての男→かつての記憶とつながっているなかで、かつて男の不能でうまくいかなった愛がもう一度燃え上がる。今の男が「嫉妬」や「欲望」に愛の根拠を求めて得られないのに対して、かつての男は「不能」という愛の無根拠性に抵抗しない。一度は失敗した愛も無根拠だからこそ再燃する美しい映画です。 執拗に描かれる「振り返る女」、ありえないほど揺れる湖面、そして愛の根拠を求めて、または無根拠のままに、白い雪山を歩き続ける男女。

閲覧数462