記録映画?記憶映画?追憶映画?追悼映画?
- 百兵映 さん
- 2014年7月2日 14時52分
- 閲覧数 747
- 役立ち度 0
- 総合評価
1968年の作、ということは戦後13年目、予科練最後の頃16歳だった人々が30歳を越えた頃の映画。生き残った人々や、家族・遺族、知人・友人・恋人たちはこの映画をどのような気持ちで観られただろうか。
不思議なことに、Yahoo映画のこの欄にはレビューが見えない。映画が観られていないはずもなく、感慨がないはずもない。書き難いのか、出すのが躊躇われるのか。
鶴田浩二の名前が目に留まってこのDVDを手にした。この俳優(歌手?)の歌をダビングしていた恩師が、先日他界された。88歳だった。この映画の予科練生と同じ年代の方だ。右翼でも左翼でもない、リベラルな論客だった。その方が晩年に鶴田浩二の軍歌を聞いておられたというのが私には理解できないままだった。懐かしかったのだろうか、寂しかったのだろうか、憤慨だったのだろうか。尋ね難かったし、尋ねても答え難かっただろう。おそらく答えようがなかっただろう。
歴史上の論評は易しい。けれども、我が身に置いて考えると、簡単には言い難いし、また聞き難い。けれども、当時の人々の話はお聞きしておかないといけない。そろそろ90歳になられるのだ。
うちの近くにも予科練の練兵場があった。今もその名残りが残っている。この映画でその全体像がイメージできる。おそらく、ここにも練兵の怒鳴り声や悲鳴が響いていたのだろう。悲劇もあったろう、涙もあったろう。これから先、記念碑の前を通る度に何かが聞こえてくるに違いない。
鶴田浩二が出演する戦記三部作のひとつだから、あと二作あるのだが、続けて観たい気分ではない。私には、亡くなられたばかりの恩師の心中を偲ぶので精いっぱいだ。リベラル派の学者がなぜ「予科練」なんだ? 「同期の桜」なんだ? 軍歌なんだ?
詳細評価
イメージワード
- 未登録
このレビューは役に立ちましたか?