濡れた二人
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(2件)


  • ぴーちゃん

    5.0

    ぐ~るぐる

    若尾文子と北大路欣也主演。増村保造監督。  スゴイ映画だ。北大路欣也のキャラクターの立ち方が半端じゃない。最初の登場シーンで東南アジア系の人かと思った。色は真っ黒。目だけギョロギョロしてる。まぁ、漁師って言う設定だから役作りともいえるんだけど、最初の場面から動きがとても動物的、。これはクライマックスにもつながってくるんだけどさ。とにかくいろいろと大げさな演出で見た目は典型的なメロドラマの形態なんだけど、さすがに増村監督、ただのメロドラマにはなってません。 どういう話かというと、仕事ばかりで全然自分のことを構ってくれない夫(高橋悦史)が不満な万理子(若尾文子)は、夫との旅行を計画していました。ところが楽しみにしていたこの旅行すらも行けそうにないといわれた万理子は、夫の目の前で夫の分の切符を破り捨てます。一人旅を強行した万理子は伊豆の港町に降り立ちます。かつて万理子の実家の女中をしていた勝江(町田博子)の家に滞在します。やっと電話で夫が来ることを知って喜ぶ万理子でしたが、駅まで迎えに行くと列車に夫は乗っていません。失望した万理子は水産会社の社長の息子、繁男(北大路欣也)と船の上で関係を持ってしまいますが、夜遅く勝江の家に戻ると夫は着いているではありませんか。夜、哲也に「もうあなただけのものじゃないの!」と告白します。それでも哲也は怒るでもなく「旅先の出来事としてそっとしておくことは出来ないのか」と冷静に東京に戻ろうと言います…。  とにかく、登場人物の行動が突飛でまったく読めません。繁男は出会って2日目の万理子に「奥さん、俺と結婚してくれ!」って言っちゃうし(笑)この科白の矛盾は作り手絶対わかっててやってると思わずニヤリとしてしまいました。これは浜辺でのシーンなのですが、万理子に相手にされず「坊やね」と言われた繁男はいきなり万理子をなぐりつけ砂地に倒れた万理子に脚で砂をかけまくります。まるで動物。そうです、この映画の北大路欣也は野生動物そのものなのです。ほとんど本能の赴くままに生きています。若尾文子はそこに惹かれる訳ですが、若い健康なオスに言い寄られるとやや年増ではありますが同じく若く健康なメス(32歳)の万理子はどんどん嵌っていきます。  繁男には水産会社の社長の父が決めたフィアンセがいます。それが網元の娘、京江。渚まゆみが演じてます。これがまた気が強くて、おまけに性格悪い!繁男が万理子に興味を示していることに苛立ち、ことあるごとに万理子に反目します。夫を迎えにいくのに繁男のバイクに乗せてもらった万理子を追いかけてきた京江は「来るもんか!旦那なんか。いい気味だ」と毒づきます。このあと水産会社の社長に子供のころから育てられ漁師をしている昌夫(平泉征)のバイクに乗せてもらうんですが、散々昌男を愚弄したあげくに昌男にレイプされてしまいます。お色気担当。  クライマックスは夫に繁男との関係を告白した次の日、いっしょに東京に帰ろうとバス停でバスを待つ万理子と哲矢の周りをバイクでぐるぐるぐるぐる威嚇するように周回し続けます。「気にするな。東京に帰れば終わりだ」という哲矢に対して、ついにバスに乗らない決断をする万理子。そのまま、ふたりでバイクでホテルかなんか行けばいいのに、勝江の家にもどるんですね、万理子は。するといままでニコニコ応対していた勝江の態度が一変。そりゃそうですよね、「なんで旦那さんと東京帰らないんだ、この女」観ありあり。実際に強い口調で詰め寄ります。「昨日、舟でなにしてたんですか。山の上の畑から丸見えでしたよ。狭い村ですからね。みんな知ってますよ。」鬼の形相です。「いくら待ったって繁男は来ませんよ。さっき繁男の親父さんが怒鳴り込んできましたよ」いますぐ東京に帰ってくれという勝江に対して、一晩だけ置いて欲しいと懇願する万理子。繁男を待っているのです。土砂降りの雨の中、繁男はやってきますが、なぜか離れに入ろうとしません…。  結局この映画は野生動物そのものだった若いオスが、父親に説得されついに社会性に目覚め人間になると同時に、都会での仮面生活に疲れ、繁男を媒体として野生に戻ったメスのお話なのです。ラストシーンは東京に戻る万理子がバスを待つシーンです。当然ながら今度はそこに繁男は現われません。野生に戻ったメスの万理子はごく自然にこう呟きます。「もうすぐ冬が来るわ…。」野生の動物は冬眠の準備をしなければならないのです(笑) 昭和43年キネ旬ベストテン39位。(笑)この作品に点を入れた評論家とはお友達になれそうだわ。個人的には最高に面白かった。それにしてもこの二人が何十年を経てソフトバンクのCMで曲がりなりにも親子役で共演するとは…(笑)

  • dqn********

    3.0

    メロドラマで青春映画、そして女性映画

    夫とのすれ違いに悩む妻と、年下の若い男との情事。妻に若尾文子、若者に北大路欣也、夫に高橋悦史。仕事にかまける夫に不満を持つ妻は、旅行先で出会った荒々しく野生的な男に惹かれていく。 典型的なメロドラマだが、海を舞台にした効果や一途な北大路青年のキャラ、そして林光の叙情的な音楽もあり、どこか甘酸っぱくほろ苦い青春映画を思わせる。と同時に日常に倦怠を感じる一人の女性が、忘れていた生の喜びを通じて人生の再生を果たす女性映画でもある。 タイトルはポルノ映画っぽいけど、文字通りの意味(海でずぶ濡れ、さらには雨にも濡れる男と女)と、二人の気持ち(渇いていない=濡れた心)を表している。 人妻に対して何の迷いもなく直球勝負の北大路(いきなり「結婚してくれ」だもの)と、そんな男の押しの強さに生きる実感を感じる若尾。「将来は分らないけどただ好き」「生きるって、暴れて、泣いて、じたばたすること」という若尾のセリフは、まさに刹那に燃える青春の喜びと言えないか。 男と結ばれた女だが、旅先に遅れて夫が到着し三角関係に。若い男と夫の間で揺れ動く妻は、ついには男を選ぶ。そしてその男が最終的に自分を裏切る結末になっても、男が自分を愛した、その気持に嘘偽りは無いと信じ、男を静かに許しその前から去るのだった。 夫と離婚し、男とも別れ一人で生きる決意をした女、その姿は力強く、そして美しかった。

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