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さらば夏の光

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4.0

1968年・夏・ヨーロッパ

1968年夏のヨーロッパで出会った男女のメロドラマ。岡田茉莉子出演としては「秋津温泉」以来のカラー映像(作品としては「日本脱出」以来)。 夏の欧州の光のもと、すれ違う二人、繰り返されるモノローグが内省的雰囲気を漂わせ、繰り返されるテーマメロディ(一柳慧作曲)が情感を高める。欧州の名所各地(リスボン・ゼコビア・マドリッド・パリ・ノルマンディ・ストックホルム・コペンハーゲン・アムステルダム・ローマ)を巡るロード・ムービーとしても楽しめる。 かつて長崎で見た思い出の教会、その原型を求めてヨーロッパを旅する男・川村(横内正)と、長崎の原爆で母親を無くし、それ以後日本をすてた女性・直子(岡田茉莉子)。川村は自分の探していた教会が直子であると確信するが、最後には「私のカテドラルは破壊されてしまった」と言い、直子のもとを去る。 一方、直子は日本という根っこを無くしヨーロッパをさまよっている人間。彼女にとっての教会は長崎。だがそれはすでに無くしてしまったもの。イタリアで見た教会もすでに失ったものの幻影なのだろう。一瞬高まりを見せた川村との愛も束の間、川村は去り、直子は彼を追って街をさまよう。最後までヨーロッパでさまよい続ける直子を写し、68年の暑い夏が終わる。

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