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千夜一夜物語 (1969)

監督
山本暎一
  • みたいムービー 11
  • みたログ 58

3.23 / 評価:22件

エンタメ性を排せば良かったのに…。

  • pin******** さん
  • 2014年1月18日 7時17分
  • 閲覧数 1254
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

虫プロダクションが、というよりも手塚治虫が、アニメーションの新しい分野を開拓しようとした意欲作。

手塚ファンだった僕は、小学生の時にもこの作品見ていました。
当時はこういう作品もテレビ放送されていたんですね。

もちろん、当時は手塚ファンとして一生懸命見ましたし、それなりに堪能してはいました。
でも、その後のアニメ―ブームの中で、この作品、埋もれていってしまったのではないでしょうか。

僕自身も、本作を高く評価することなくこの歳になっていました。

今回、遅まきながら「追悼:やなせたかし」の意味でDVD鑑賞したのですが、意欲的な多い力作として、再評価する必要があるのではないかと思いました。
ちなみに、本作のキャラクターデザインがやなせたかし氏です。

意欲的な部分としては、言うまでもなくターゲットを大人に絞ったという事。
今でこそアダルト・アニメはジャンルとして確立されてしまっていますが、この当時は、大人がアニメを見るなんて考えられないことでした。
だいたい、アニメなんて言いかたもしなかったですよね。
好きな人は「動画」、たいていの人は「まんが」とひとくくりにしていましたよ。

映像も、実写との合成があったり、従来のセルアニメとは違うデザイン性の高いシーンを多用していました。
後の傑作『哀しみのベラドンナ』に続くような部分も散見されるのです。

しかし、全体には虫プロがテレビアニメで寄りかからざるを得なかった、リミテッドアニメの悪い部分が出てしまっていたように思えます。
また、当時の文化人をゲスト声優に迎えたり、メインストーリーに関係のない遊びの部分を唐突に挟み込んだりというのも興を削いでいます。


手塚治虫氏は「エロティックなアニメーションを目指したのに、キャラクターデザインにやなせたかし氏を起用したのは失敗だった。」と語っていますが、僕は、そうは思いません。
描き方の問題だったのではないかと思います。
もし、アニメーションとしてのエンターテイメントにこだわらず、やなせたかし氏のキャラクターを生かして、純愛の物語として描いたのならば、本作は『哀しみのベラドンナ』と並ぶ傑作となったのではないでしょうか。

物語は水売りのアルディン(アラジン)と、一夜をちぎった奴隷女との愛、そして、その娘の愛を中心に、千夜一夜物語の様々なエピソードをからめあわせて進められていきます。

もしも、アルディンが我が娘と知らずに一人の女を愛してしまうという、運命悲劇にも似た物語に焦点を絞って物語を展開したならば、もっとすっきりとした、文藝エロスとして堪能できるものとなったのではないでしょうか。

大人のアニメーションとして企画し、大人をターゲットとしてこの作品を作ったということは大きな意義があるのでしょうが、ターゲットを大人に絞りながら、作風を絞り込まなかった、手塚氏のサービス精神が裏目に出たしまったところに、本作の失敗の原因があったのではないかとおもいます。



エロスを描いたものではありますが、当然のことながら、昨今のアダルトアニメなどとは全く違います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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