松竹の文芸映画みたいな任侠映画。
- 黒猫嬢 さん
- 2012年10月28日 23時32分
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- 総合評価
吉田喜重を彷彿とさせる映像や演出で、大立ち回りのシーン以外は東映の任侠映画らしくない、松竹の文芸映画みたいな格調高さを感じさせる。「任侠」がテーマだが、「任侠の世界」というより「どうしても下流の世界でしか生きられない人間達の人情ドラマ」を描いているような気がしてならない。溝口健二や成瀬巳喜男を彷彿とさせる(まあ流石にこれは言い過ぎのような気がするが)。「えっ?これで終わり?」と呆気にとられた。
お竜さんの台詞「この着物の下の緋牡丹を それほど見たいか見せてもいいが 見たらお命戴きます。」はそのままキャッチコピーになっているらしいけれど、聞き流しちゃった。「死んで戴きますばい」の方が印象に残っているからなあ。
主人公のお竜こと矢野竜子役の藤純子は、演技も殺陣も歌も(藤純子は主題歌も歌っている)生硬で拙く、鉄火なところは全然無く、任侠の女らしくなく、隠しても隠しても上品さや清楚さが隠しきれていないんだが、それが不思議とミスマッチな魅力になっている。港座十月上映会に来ていた人が「藤純子は美人じゃない」と言っていましたが、私は藤純子は美人だと思います。竹内結子系の顔立ちだと思いますが。
菅原文太も不器用そうなところが硬派に見える。
任侠映画が苦手な女性にも自信を持ってお薦めします。
2012/10/21(日) 港座十月上映会にて鑑賞
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