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赤頭巾ちゃん気をつけて (1970)

監督
森谷司郎
  • みたいムービー 10
  • みたログ 53

3.26 / 評価:19件

時代

  • wac******** さん
  • 2007年5月14日 22時59分
  • 閲覧数 743
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

この映画は、本来原作小説と併せて鑑賞する物かと
思いますが、私は不勉強ながら原作は未読です。

物語は学生運動の盛んだった1969年の数日間の主人公の
考えや、出来事で描かれています。
主人公は、大学受験が、その出願先と目していたらしい
東京大学が、安田講堂事件を前後とした文部省判断による
69年の入学試験中止で、いわば宙に浮いた状態に置かれた
高校三年生です。

この映画を今現在(2007年)の感覚で観だすと、いろいろと
(描かれた過去の「有る時間の」物事の有り様や、
登場人物の言動に)ひっかかる要素が満載です。

映画としての作り方、というかキャッチの方法自体が
時代、を感じさせる部分がありますが、それは「古い」
という感じには自分は受け取らなかったです。
(技法的には、ストップモーションなんかは、今日的に
使ってみてもいいじゃないかと拝察しました)

むしろ最初の時点の「お手伝いさん」の「ちょっとした」
言葉にかちんと来たり、主人公や、主人公の周囲の人の
ちょっと高踏的な知識・思考開陳を絡めた会話に、

「すんごいな~」

とか思って観ています。当時は、学生運動の高揚期でも
あったらしいので、そういう言わばペダンチックな会話
とか物の考え方の方法が一般的だったのかとか思います。
「ふんふん、そうですか、じゃそういう方向で楽しませて
頂きましょう」「ほおー、すんごく濃い時代ですね」

とか思っていると、「実はこれは意外や感動巨編じゃ…」
とか思ってきます。「あっとおどろく」です。

と言うのは、確かにこの作品は時代背景を濃厚に転写した
作品でも有るのですが、
その「時代」にあった「彼ら」なりに懸命に考え、道を
探し、迷い、囚われ、孤独に沈み、誘惑に足を取られ、
その「時代そのものに違和感を覚えたり」して
居たのが軽妙な物語の語り口の根底に揺るがず描かれて
いるからのように感じました。

主人公は、飼い犬が死んだことなども契機に気分が沈みがち
にあるような感じで、「少し立ち止まって先行きを考えては
どうだろう」
と思っているようにで、これは洒脱な思考的遊戯のようなもの
から、かなり「的を得ているような核心」のようなもの、
それから「迷いあぐねて疲労して座り込んでしまう」
ような状態(心理的に)も描かれています。
比喩によって重大な事柄を置き換えて(できるだけ)
冷静に考えようとしていると言うか…


この作品で自分が一番好きなのは「小林」という主人公の
同窓生(もしくは同級生)

が、「まっとうな世間の中核を担う官僚的人生行路を辿る
『おまえ』を追尾して凌駕する、それが俺のやりかただと
信じたんだ、なのに…」

というような意味の言葉を噴く場面です。

そうそうたる制作陣の布陣から生み出された傑作だと思います。
「赤頭巾ちゃん」のひとこと、胸に迫ります。
主題曲もアレンジを換えて何回も流れますが、それが実にいい
感じです。
どうぞご機会があったらご鑑賞ください。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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