煉獄エロイカ
あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
作品レビュー(4件)
- hai********
5.0点
私は旧作品は再観賞してレビュを入れる。 昔観た作品を、歳をとってから再見すると、当時とまったく違った印象を受けることが多いからだ。 大島渚を知っていても吉田喜重を知っている若い方は少ないのではないだろうか。 両者とも1970年代に、松竹ヌーベルバーグと言われた映像作家だった。 大作商業映画へレーンチェンジした大島さんと比べ、吉田さんは前衛映画を突っ走ったという印象が私には強い。 本作の製作は1970年。 全共闘世代には「総括」という言葉とともに記憶される作品だろうが、私が鑑賞したのはそれから後の大学の上映会。 私は全共闘世代に遅れること、10年後のキャンパスにいたのだった。 本作に関する当時の私の印象は、正直「嫌悪感」だった。 70年全共闘世代のわがままぶりをそのまま前衛映像にしたような、人を見下す優越感が鼻についた。こういう映画を喜ぶような人間には決してなるまいと思った。「唾棄すべき映画」だと感じた。 昨夜再鑑賞した。 やっぱり、観方がまったく違っていた。 「吉田さんは映画が好きだったのだな、心底」と思った。 本作の底流に流れる映画革新への情熱を、今日の私は感じることが出来る。 構成主義に徹した本作の画を観たらよい。 1カット、1カットに工夫されたこの途方もない構図の怒涛。 低予算モノクロの制約を逆手に取った色の主張。 白とは色彩のない状態を言うのではなく、本作の映像は「白こそ色だ」と言う。 本作のウルトラモダニズムを観ていると、真逆のところにいたはずの小津映画も、同じ革新の情熱に支えられた映画であったと思わずにはいられない。 小津映画の構図も、切ったら血の出るような構成主義的色合いが濃い。 映画とは総合芸術、とは良く聞く言葉だが、果たしてそれは本当か。 映像の革新こそが映画の未来を切り開いてきたのではないのだろうか、などと オッサンの私は、こそっと、うそぶいてみたりする。 ストーリーは、わかるようでいてわからない。 台詞は難解。80年代まで、いくつも上演されていた、いわゆるアングラ演劇とはこういうものだった。理解しようなどとしない方がいい。徒労だ。
- ********
3.0点
相変らず女性の裸をきれいに撮ります。この映画にしか出ていないと思われる女優さんのラスト近くの全裸シーンなど、ため息がでるほどきれいです。 吉田監督の革命三部作第二弾。52年にあるはずだった革命の失敗と70年現在の革命運動を重ねて描く。しかも80年という、当時としては10年先の未来まで出てきて、とっても複雑。一貫性をもって理解しようとすると論文になってしまいそうだし、そもそもあまり面白い話になりそうにないので、印象的におもしろいことのみ。 ?終わりについて。80年の描き方が、すべてがおわってだらだらと続く近未来になっています。無機質で白いイメージ。革命のおわり、歴史の終わり。これに岡田茉莉子の終わりが重なっているような気がします。 ?52年の失敗も70年の運動も、フィルムで見えてしまうこと。スパイの娘が登場して父親を探しますが、この娘は男を殺す母を目撃していることになっています。見たくないものが見えてしまうことが悪夢となって襲ってきます。主役の男はレーザー光学の博士で、まさに見えることを研究している。 ?吉田監督と女優岡田茉莉子。この二人が夫婦ということを前提にしないとわからないことが多い。映画監督になりたかったという主役の男は人生の究極の目的は「最良の夫になること」と岡田を見ながらいう。妻役の岡田は「私をここから連れ出して」と別の男に頼むし、「私は殺せないわ」という。映画女優ですから? とはいえ、一番気になったのは岡田茉莉子の太りっぷり。森英恵のきれいな近未来的衣装でごまかされていますが、中盤、下着姿になったときはちょっと・・・。そういう意味で岡田が終わりを気にするのは、女優引退を意識しているのかと思ったくらいです。製作側に名前がでるようになるわけだし。
- oak********
2.0点
吉田作品を久しぶりに観たが、やはり理解出来なかった。作画や構図の素晴らしさは、現在でも抜きん出ていると思うが、ストーリーはまったく理解出来ない。 昔であれば、理解できないのは当方の及ばぬところとする謙虚さもあり、本作やヨーロッパ映画の難解な作品を考えながら観る努力をしたが、実存主義やマルクス主義が前世紀最大の時間の無駄遣いであったと言われても簡単には反論出来ない展開があっただけに、本作なども、頭の中が空っぽうで我がままな上っ面だけの美人に過ぎないように思われてしまう。 はっきりしていることは、最近の若いものや、私のような老人も、このような理解出来ない作品に付き合う忍耐力はなくなっており、このような作品が商業的に制作される余地は、まったく無くなってしまったということである。
- lif********
5.0点
日本映画じゃないようなお洒落で芸術性が非常に高く、吉田監督にしか描けないエロスと政治や愛などが見事に描いている
スタッフ・キャスト
人名を選択するとYahoo!検索に移動します。