あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
作品レビュー(7件)
- 一人旅
4.0点
アンジェイ・ワイダ監督作。 世界史を学んだことのある人なら、フランス革命の複雑さや時系列の理解に苦しんだ経験があると思う。自分もその一人だった。 ブルボン朝打倒による第一共和政の成立までが狭義のフランス革命なのだろうが、その後のナポレオンによる第一帝政や王政復古、第ニ・第三共和制の成立など革命後の動きは単純ではない。 本作は恐怖政治で知られるジャコバン派の指導者ロベスピエールと革命の英雄であるダントンの対立を描いており、バスティーユ牢獄襲撃やジロンド派による総裁政府樹立までは描かれず、もちろんナポレオンも登場しない。ある意味、フランス革命の“面白くない部分”をテーマにしているが、今まで知らなかったダントンという名の男を中心に物語が展開していくことが興味深い。 市民のための革命であるはずが、やがては体制維持や革命進展という大正義のもとに、反革命派の市民を次々に断頭台に上がらせてしまうという大きな矛盾。政府は革命を推進しているつもりでも、現実に行っているのは市民の民意を無視した権力保持のための闘争に他ならない。不思議なことに、革命の中心にいた人間が市民よりも強固に保守化してしまうのだ。民意と政府が打ちだす政策の方向性が乖離し始めた時点で現政府の終焉は近い。それに気付かない、あるいは容認しないことは、結局は革命前の政情と何ら変わりない、悪質な独裁へと繋がってしまうのだ。 あくまで市民の側に立つダントンと、市民の側に立っている“つもり”のロベスピエール。両者の違いは決定的だった。
- sei********
4.0点
このレビューにはネタバレが含まれています。 - いやよセブン
4.0点
王制を倒し、民衆政治を始めたが、路線の違いから権力闘争がおきる。 革命の立役者ダントン(ジェラール・ドパルデュー)とロベスピエールの争いをアンジェイ・ワイダが重厚に描き、王制の後が独裁という皮肉な人間ドラマが面白い。 今の日本も政権交代後、政治家にたいする国民の絶望感がピークに達している現状、次に何が起きるか怖い気がする。
- じぇろにも
4.0点
ネタバレ検問のOP
このレビューにはネタバレが含まれています。 - bak********
5.0点
アンジェイ・ワイダ監督の作品の中で、個人的には最も高い評価を付けたくなる名画です。 二十数年前、試写室で1度、映画館で3度、ビデオで5、6度観たでしょうか。その度に緊張感の高いドラマに圧倒され、脱力するような感動を覚えたものです。 作品の内容については、晴雨堂ミカエルさんのレビューに過不足なく語られていると思います。 付け加えるとすれば、この作品が制作された1980年代初頭、アンジェイ・ワイダ監督の故国ポーランドでは、独立自主管理労組「連帯」をめぐる政治的な動乱があったということでしょうか。そうした背景が、アンジェイ・ワイダ監督の心情に投影され、作品にパセティックな緊張感を生んだように思えます。当時、ドパルデュー演じるダントンの姿に「連帯」のレフ・ワレサのイメージが重なり合って見えたものです。 ちなみに、ダントンは断頭台の露と消えましたが、レフ・ワレサは'83年にノーベル平和賞を受賞、'90年にはポーランドの第2代大統領に選出されました。映画とは違い、現実はハッピーエンド?ということでしょうか。
スタッフ・キャスト
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