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沈黙 SILENCE

ぼんぼんおやじ

4.0

ふたつの『Silence』

レビューされている中に、2016年のマーチン・スコセッシ監督版『Silence』についてレビューされている方がおられます。ここは、1971年の篠田正浩監督版『Silence』のレビュー欄です。いいこと書いておられるのにスコセッシ版『Silence』のサイトで読んでもらえないのが残念です。 どちらの『Silence』も重く心に沈むものがあります。その点では、どちらも原作の味わいを十分生かしていると言えましょう。 あえて両者の違いを一言で述べれば、スコセッシ版は「鮮烈」であり、篠田版は「陰鬱」であります。日本人が日本国内で日本の技法で撮影すれば、当然そうなりましょう。台湾やニュージーランドで撮影されたスコセッシ版は、ハリウッド的撮影方法とも相まって、日本人の肌感覚的には「湿度が足りない」と感じるかもしれません(自分がそうでした)。 とは言え、「その日本的湿度が嫌なんだ」という方も大勢おられると思いますので、無難にスコセッシ版をお勧めしておきます。「外国映画を観た」という印象をお持ちになる方も多いかもしれません(自分がそうでした)。 司祭や切支丹についてクリスチャンである日本人が描いた原作を、片や(たぶん)クリスチャンでない日本人監督が撮影し、片やカトリック司祭を目指していたイタリア系アメリカ人監督が撮影し、その両者を、大抵の人がクリスチャンでない日本人が鑑賞するという、興味深い現象を伴う作品であります。

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