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忍ぶ川

忍ぶ川

120

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4.0

「やったのか」「やるもんですか」

三浦哲郎の芥川賞受賞作。こんなに純愛ものだったかと再確認しました。プラトニックという意味でもそうだけど、とにかく「直接的」で、二人の間に入ってくるものを許さない。栗原小巻は当時27歳らしいけれど、10代後半から20代前半にみえる童顔(ちょっと上戸彩に似てるような)。だからいわゆるラブシーンが衝撃的だったのでしょう。 出会ってそうそうにお互いに隠し事が判明すると、妙に律儀に告白して「すべてをさらけだした」と自慢げ。「やったのか」「やるもんですか」も、栗原演じる女に婚約者がいたとわかったときのやりとり。少しぐらい隠し事あるでしょうに・・・結婚式も男の家族だけのこじんまりしたものが「心が直にふれあう」といわれ、極めてつけは寝るときにはふとんの中でパジャマも許さない。いや、これほど無媒介にくっつきたいことを強調されると、こっちが照れます。 編集や映像が美しいとはとても思えないけど、全体としてみると、音楽のない間延びした映像やアイドル写真のようなアップには独特の雰囲気が漂っています。そして、カモメの大群。ここだけ音楽がしっかり入っていて、最終的にこれが生きることの証だとわかるわけですが、映像的にもずば抜けています。気持ち悪いところぎりぎりの妙な浮遊感。熊井啓監督、最後までみればそのよさがわかる、ドラマ作りの名手ですね。

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