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忍ぶ川

忍ぶ川

120

おおぶね

4.0

忍んでいるのは彼らだけではない

「雪国ではね、寝るとき、なんにも着ないんだよ。生まれたときのまんまで寝るんだ。その方が、寝巻きなんか着るよりずっとあたたかいんだよ」  さっさと着物と下着をぬぎすて、素裸になって蒲団へもぐった。志乃は、ながいことかかって、着物をたたんだ。それから、電燈をぱちんと消し、私のもとにしゃがんでおずおずといった。 「あたしも、寝巻きを着ちゃ、いけませんの?」 「ああ、いけないさ。あんたも、もう雪国のひとなんだから」  ああ、こんな会話は僕らがしたら、スケベ爺の戯言になってしまうところだけど、加藤剛はやっぱり決めた。まあ、相手が栗原小巻だからということもあるけれど。  僕も雪国だが、こんなことは聞いたことはない。きっと、妄想に絡まれたひとだけが、言えることなのだろう。だって、風邪を引いてしまう。  観た当時も、今も、他愛のない恋愛映画だと思う。だって、誰だっていろんな悩みを抱えているわけで、まして抱えたもの同士が一緒になるのだから、それぞれに「大恋愛」というものがあるのだ。まあ、飲み屋で出会った女の子と恋愛するというのは「小恋愛」にしか見えないけど。

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