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黒の奔流

bakeneko

5.0

ネタバレ“彼女は頭が悪いから”と侮ると…

『オール讀物』1967年3月号に掲載された“種族同盟”を大幅に変更して映像化したものですが、後に創られた3作のTVドラマは本作の筋立てを踏襲しています。 流行らない弁護士事務所で燻っている矢野武(山崎努)は、窮余の策として勝ち目のない国選弁護人の業務を引き受ける。多摩川渓谷の旅館の女中:貝塚藤江(岡田茉莉子)が馴染み客(穂積隆信)を崖から突き落した殺人容疑の擁護であったが、奇跡的な証人の出現で勝訴し、同業者の賞賛と大物弁護士(松村達雄)の娘(松坂慶子)の好意を得る。しかし旅館をやめて事務所の事務に雇うことにした藤江と関係を持ってしまい…というお話で、相手が無学&女中の身分であることから見くびって軽い気持ちで手を出した男に対して、意外な?利発さと理屈が通じない情愛で先手を打つ女の強さ(男にとっては怖さ)に震撼させられます。 全ての男を代表している―エゴイストな割に気が弱いインテリ弁護士(山崎努)を、無学&下層階級の女の知恵と情念が凌駕してゆく(男性観客にとっては)恐ろしさをまざまざと見せてゆく傑作スリラーで、岡田茉莉子さんの演技は女の哀しさと怖さを両立して圧巻ですよ! ねたばれ? 1、原作では男だった容疑者を女にして愛憎関係まで取り込んだ本作は、「陽のあたる場所」と相似形を成しています。 つまりー山崎努=モンゴメリー・クリフト     岡田茉莉子=シェリー・ウィンタース     松坂慶子=エリザベス・テイラー ですな(でも、湖での凶行の結末は真逆に…)。 2、手帳と万年筆は別々に保管していたんだ…

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