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音楽 (1972)

監督
増村保造
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3.58 / 評価:12件

はさみをもって突っ走る増村監督

  • 諸星大五郎 さん
  • 2013年1月13日 6時08分
  • 閲覧数 856
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

 いわゆる「ニューロティック映画」の増村版である。

「ニューロティック映画」とは、精神分析を行う医者と治療を受ける患者をストーリーの軸にしながら異常心理の迷宮を描くハリウッド映画のことである。

 戦後の一時期、ハリウッドではこの手の映画が流行ったが、中でも有名なのは、ヒッチコックの『白い恐怖』あたりか。
『羊たちの沈黙』のような現代のプロファイリング映画の原点が「ニューロティック映画」なんだろうな、と思う。

 ヒッチコックの白い恐怖では白黒の縞模様への恐怖が精神分析の鍵になる。本作『音楽』では、ハサミである。

 オープニングシーンでいきなり仰け反らされる。巨大な銀のハサミが、シネスコサイズのスクリーン目いっぱいに、勝手にちょきちょきしてるのだ。

 増村はん、いけずじゃ。。。オープニングからいきなり、鑑賞者の頭を目がめけて、速球でシュートを投げてきはる。。。。
しかも巨大なハサミが全裸の美女にオーバーラップしてくるじゃないの。。。
なんじゃこの怪奇な映像は。。。。
監督自体が、すでにサイコパスなんじゃないのかと、恐怖のあまり我がヨメは、はやくもオープニングで、仰け反るのである。

 演出も凄まじい。
真っ暗な部屋で患者と医者の顔を顔をライティングして、精神分析治療の緊迫感を演出する。この撮影には大変な苦労をしたことだろうが、それ以上に、本作で特筆すべきは、役者の異常な演技である。

いつもの増村映画の数倍のテンションで、ありえねーくらい非リアルな芝居。
増村監督、この映画は「舞台劇」として演出したのだろう。 

 細川俊之さん演ずる精神分析医のテンション。。もはやこの医者が病気である。
この医者こそが、患者の病気の原因じゃないのか。
だって映画の中で患者自身が「先生の治療を受けてから、病気が悪化しました」と苦情を言ってるし。。。
 この細川さんのテンションに対抗できるのは、日本では、藤原竜也くんか鳥居みゆきちゃん、アメリカにおいてはジェイソン・ステイサムしかいないだろう。

 医療倫理規定も個人情報保護法も、インフォームド・コンセントすらまったく意に介さない医者の治療で、どんどん患者は病状が悪化しつつ、なんだかんだと言いながら、結局物語はエロエロな方向にすすみ、案の定、映画は尻切れトンボっぽいエンディングを迎えるに至る・・・・・・。どへっ(爆)

ハリウッド大作に対抗できる邦画制作を、自らの課題としていた当時の増村監督。
三島由紀夫の「音楽」をお読みになられて
「おおーこれは、邦画の歴史に残るような異常心理映画を撮れ!と、神が導いておる」との啓示をお受けになられたのであろう。

ある意味、この映画 確かに邦画の歴史に残る。
どっちかいうと ちょーレアなおバカ映画として・・・・合掌

PS
本作を観る機会を与えてくれた 我が親愛なる増村映画ファンに感謝

詳細評価

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