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ジャングル黒べえ

tok********

4.0

発禁アニメ作品に思う

 突然ですが、みなさんは「ジャングル黒べえ」をご存知だろうか。おそらく、30代、40代の方にはある程度の認知度があるものの、20代を境目にその認知度はグッっと落ち込むだろう。それもそのハズ、この作品はある理由から昭和50年代後半以降、再放送もソフト化もされていないからだ。原作者をあの国民的人気キャラクター?ドラえもん?の藤子不二雄氏と同じくしながら…。  「ジャングル黒べえ」は昭和48年、毎日放送系で全61話が放映されたギャグアニメーション(アフリカのピリミーから日本の佐良利家にやって来た大酋長の息子、黒べえの珍騒動を描く)作品である。同時期には日テレ版の「ドラえもん」(この作品も今では存在が消されている)も放映されており、藤子作品の揃い踏みとなっていた。  さて、前述の通り藤子不二雄作品となっている本作だが、他の藤子アニメとの大きな違いは原作マンガよりもTVアニメの企画が先行する形でスタートしたという事だ。作品やキャラクターの大まかな設定は藤子氏によるものではなく(一説によるとこの原案は当時、アニメプロダクションにいた宮崎駿氏の手によるものらしい)その為、藤子氏自身も最後まで乗りきれなかった作品と、後年述懐している。しかしながら、東京ムービーの制作した本作は非常に完成度も高く、今見直してみても遜色がない(最近、念願であった本作全話を手に入れる事ができた)。こうした本作も裏番組に「ウルトラマンエース」から続くウルトラシリーズを迎え、視聴率的には苦戦をしいられた。  この後、昭和50年代になりアニメの再放送や原作マンガの出版が繰り返されるのだが、「ちびくろサンボ」に代表される黒人差別問題(カルピスのマークもダメになりましたね)がわき起こり、平成に入り大阪の市民団体が小学舘に対して正式に抗議(黒人を魔法使いや原始人扱いした非人道的作品)を行う事となる。こうして、この問題は出版社が書籍の回収を行うといった騒ぎまで発展した。そして現在、「ジャングル黒べえ」は再放送される事もなく、その存在自体を消された作品となっている。  他の発禁作品にも言える事だが、残念なのはその本質を理解してもらえず不遇な処遇を受けている作品の多い事だ。社会に害毒をタレ流す様な作品が存在しては絶対にいけない。しかし、害毒とは何なのか。自分自身、あらためて考えてみたいと「ジャングル黒べえ」を鑑賞して思った。

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