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新座頭市物語 笠間の血祭り (1973)

監督
安田公義
  • みたいムービー 4
  • みたログ 26

3.75 / 評価:12件

年代を重ねても色あせない世界。輝き。

  • tis***** さん
  • 2008年9月19日 6時58分
  • 閲覧数 462
  • 役立ち度 16
    • 総合評価
    • ★★★★★

座頭市は数本観た事があり、その設定と演技に圧倒された。
殺陣のシーンなど、スピード感と緊張感が素晴らしい。
シリーズ化もうなずける映画だ。

北野監督などが好んでリメイクしたのもうなずける。

久々にこういった映画が観たかった。

ふらふらとレンタル店を歩く癖のある私は一本のVHSに目を奪われた。

笠間の血祭りって・・・。

そういえば幼い頃に聞いたことがある。
座頭市が私の生まれ故郷「笠間」の出身という設定であること。
そして度々ロケが行われていること。
北野作品でもさすが監督、地元でのロケでリアリティを出したそうだ。

父は兄を背負ってこの映画のロケを観に行ったそうだ。
そう、私は母のおなかにいたらしく、
公開の歳に生まれた。

故郷をこよなく愛する私がこの映画を観ないわけには行かない。

擦り切れて音声の悪いこのVHSを再生し、心躍らせた。

女性の脚本とレビューで知った。
そういわれれば、今まで見たシリーズの中でも女性の視点が素晴らしい。

相反する二人の女性の見る「座頭市」の姿。
無骨でそして不器用で、見た目もむさくるしい。
ただの流れ者に感じるその雰囲気を感じ接していく姿がなんとも女性らしい。

滑稽に写るそのしぐさにさえ、愛着を覚える演出。

ストーリは単純だ。
もともと友人だった男が出世して故郷に帰る。
しかしそこにはたくらみがあり、稲田御影石を金脈と考え悪巧みをする。
「米」というお金に匹敵するそれを流通しそして人々を苦しめる。
飢饉を感じているのはいつも一般の人々。
おぼれ捨てるほど米を溜め込んで、無駄にするのは役人。

ああ、今の世も変わらないのかとため息がでる。

そこで座頭市はやくざな姿を露呈し、見事な剣捌きを魅せる。

そう、米が飛び散りばら撒かれる。
雨のように注ぐ米が虚しさをあおり、見事な演出となる。

血に染まる米がなんとも痛々しく、
そして情けない気持ちにさせる。

お見事。

確かにこの時代、この映画、この雰囲気。
今に引き継がれている部分もあれば、その良さが消えているところもある。

なによりどうやってかっこよく魅せるべきなのか、
なによりどうやったら感動してもらえるのか、
なによりどうやったら映画の世界に引き込ませることができるのか。

35年前のこのメジャーとはいえない作品に教えてもらった気がする。

この映画をみてもう一本座頭市を観たいと思った私は
見事この演出にはまったのだろう。

こうして地元で生まれたその作品と一緒に歳をとってきた。
この映画も35歳なのだ。

あっと今に映画の手法は変わったのだな。

しかし手法は変われど、その根底は変わらない。

つくり手の気持ちが出ることは確かだ。


また一つ歳をとる。
そのたびに色あせるのではなく、
輝いていたいものだ。

座頭市の抜いた刀のように。

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