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戒厳令
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戒厳令

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4.0

マゾとしての北一輝

だれか私を罰してほしい。三国連太郎演じる北一輝の、それが唯一の願いです。それがどういうことなのか、ある程度二・二六事件とマゾヒズムを知らないとまったくわからない。吉田監督インテリだねー。ということで以下、ちょっと理屈っぽいですが。。。 この世界を革命しようとする私が罰せられることで、革命の正しさは証明される。そして、罰せられれば罰せられるほど、その革命はますます価値が高くなる。そして、罰せられるということは、今の世界(昭和天皇の世界)を超えるなにかが存在することになる。。。 間違いなく、その私を超える存在は、随所に現れる明治天皇の写真のイメージです(明治天皇自身ではありません)。明治天皇のイメージを求めるマゾヒズム。だから、明治天皇の御真影の目線としか思えないカットが何度も入る。よみがえれ、明治天皇(みたいなもの)! 具体的に罰するのは日本の最高権力者=昭和天皇。「戒厳令」は昭和天皇と北一輝がマゾヒズムの契約に覆われる合図です。北は罰せられたいと願っているのだから、願いを叶えてくれる昭和天皇はマゾヒズムの相方、そして相方は私を超える存在ではありえません。 と、以上のことはすべて、ドゥルーズの著作のなかでは例外的に読めばわかる『マゾッホとサド』参照。それ以外では、吉田監督の、女性を斜め上から見下ろす視線とか、白い日傘とか、日本風の壁とか、しびれます。白といえば、北一輝の処刑シーンで、白い目隠しが赤くそまり、日本の国旗のようになるところなども、なかなか刺激的です。この場面、マゾヒズムを許容しない、またはマゾヒズムを極限で推し進めてしまう日本ということだと思いますが、どうなのでしょうか?

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