ここから本文です

二十歳の原点 (1973)

監督
大森健次郎
  • みたいムービー 14
  • みたログ 12

2.20 / 評価:5件

良くも悪くも全共闘世代

  • daw******** さん
  • 2010年7月19日 18時09分
  • 役立ち度 11
    • 総合評価
    • ★★★★★

-独りであること、未熟であること、これが私の
二十歳の原点である-
あまりにも有名なこの一節。高野悦子さんの著作
「二十歳の原点」からの引用ですが、かつては青春の
バイブル的存在で、多くの人々が手にしたのですが、
今でも読み継がれているのでしょうか。わが小さな書斎の
本棚には倉橋由美子さんの「パルタイ」と吉本隆明さんの
「共同幻想論」の間にひっそりと挟まれています。
昭和44年1月2日から自殺2日前の6月22日までの高野さんの
日記や詩をベースにした本で、在籍していた立命館大学の
学生運動が多く語られていますので、今の時代ですと、
ちょっと取っ付きにくいかもしれませんが、理想と現実の
間を彷徨う心の揺れ動きや他者との微妙な関係での悩み、
勿論、そこには恋愛関係も入ってきますけれども、そうした
普遍的なテーマが中心にあって、豊かな感性で書かれた詩も
心を揺さぶるものがありますから、時代を超えて読む価値の
ある作品だと思います。

昭和48年に東宝で映画化された「二十歳の原点」ですが、
公開当時は著作に及ばない等と評判はあまり芳しくはなかった
ようですけれども、主演の高野悦子さん役を演じた角ゆり子さんの
体当たりの演技は、迫真に迫っていて、90分程度の時間で、
よくまとめた完成度の高い作品だと思います。
監督をした大森健次郎さんは、これがデビュー作で、この後、
テレビドラマ「俺たちの旅」を演出するようになるんですが
やはり、青年期特有の心の葛藤ですとか、挫折ですとか、そうした
感情の機微を映像として描き出す才に溢れた方ですね。

まだ、正月気分の残る実家の那須から大学のある京都へ戻る
場面から始まります。このとき、既に自身に対する不全感みたいな
ものを抱いているような描き方が、ラストへうまく繋がって
いきます。
父親への愛情と反抗。下宿を出て小さなアパート暮しを
はじめたり、親から送ってもらった授業料を大学に支払わずに
貯金をしたり。それでいて、娘の奇怪な行動に驚いてやってきた
父親に涙したり。学生運動の闘士に憧れたり、バイト先の
妻子ある上司に好意を持つんですが、結局は好きでもない
バイト学生と肉体関係を結ぶようになったり。行動やしぐさの
ひとつひとつに青春の苦悩が浮かんでくる実に巧い撮り方を
しています。父親役の鈴木瑞穂さんが、娘の行動を理解できずに
思い悩む、こちらは親としての苦悩ですが、理性を持とうと
しながらもつい感情的になってしまい、それでいながら娘を
理解しようと努める姿を絶妙に演じています。

最後の鉄道自殺シーンには、心苦しくなりますが、作品自体は
暗いわけでもなく青春映画としても充分、楽しめます。
伝説のロックバンド四人囃子のサウンドトラックも当時は全く
無名でしたので、今では貴重な映画となっています。
因みにこの頃の四人囃子にはアルフィーの高見沢俊彦さんや
坂崎幸之助さんも携わっていました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 絶望的
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ