津軽じょんがら節
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(16件)


  • le_********

    5.0

    荒涼とした風景、押し寄せる荒波、津軽三味線の音で、男と女の生きざまの原点を演出

    監督:斎藤耕一、脚本:中島丈博、斎藤耕一、撮影:坂本典隆、編集:大島ともよ、音楽:白川軍八郎、高橋竹山、主演:江波杏子、織田あきら、1973年、103分、製作:斎藤耕一プロダクション、日本アート・シアター・ギルド、配給:ATG じょんがら節とは、青森県津軽地方に伝わる民謡。津軽三味線の伴奏と共に唄われるが、三味線演奏だけの曲弾きでも知られる。冒頭やラストに曲弾き、途中にじょんがら節も聞かれる。日本では歴史的に、東北・北陸地方の日本海側で、盲人の女性である瞽女(ごぜ)が演じた。 五所川原からもバスで2時間以上かかる日本海側の青森県の鄙びた漁村が舞台。 タイトルバックで、じょんがら節の曲弾きをする老婆の瞽女と若い娘の話す姿が映る。娘は、死んでしまった男について告白をしていた。瞽女は、忘れていくしかない、と言う。若い女は全盲でユキ(中川三穂子)と言い、ラストでこのシーンに戻って映画は終わる。 バスから、赤いコートを着た中里イサ子(江波杏子)と、安っぽいスーツ姿の岩城徹男(織田あきら)が降り、バラック小屋のような長屋を探し出す。そこは、イサ子の実家であるが、すでに他人が住みついていたので、別のボロ屋に落ち着く。岩城はイサ子より年下の25歳で、イサ子は岩城を「あんた」と呼ぶ。ヤクザの抗争で敵方の幹部を刺し殺し、イサ子とここに逃げてきたのだ。ところが、この辺鄙な村には、大衆酒場が一軒あるくらいで、他に何もない。あるのは、荒涼とした風景と打ち寄せる波くらいであった。退屈まぎれに岩城が歩いていると、釣りをしているユキに出会う。ユキは、父と母が兄妹であり、その父も自殺したといういわくつきの家の娘であった。・・・・・・ 何度か見た映画である。いわゆるATGブームのころの作品であり、織田あきらにとってはデビュー作での主役抜擢であった。西村晃、佐藤英夫、寺田農らの顔ぶれもそろい、脇役でしっかり固められた映画だ。 イサ子は、漁師の父・為造(西村晃)をもつ男と東京に逃げ、その後初めて、岩城の逃走を助けるつもりでここへ帰ってきたのだ。イサ子の父と兄は、沖に漁に出たときに船が転覆して死亡したので、保険金をほしいと保険会社に掛け合うが、転覆直前に他の小さな舟に乗り移ってから死亡したと判断され、ついに死亡保険は下りない。保険が降りたら、遺体も上がらない父と兄の立派な墓をつくるつもりであったが、それはかなわなくなった。村に一軒しかない酒場で働いていたものの、そこの店主・金山(佐藤英夫)の女・晴美(富山真沙子)は、イサ子が預けていたカネまでを含め、すべてのカネを持ち逃げしてしまった。 岩城は不幸な生い立ちをもち、どん底のヤクザの世界からここへ逃げてきただけだが、為造と話すうち、為造の船に乗り、アサリ漁の手伝いまでするようになる。ここにいる男たちは、出稼ぎでみな出て行ってしまうだけに、為造としてもうれしかった。岩城は時折会っていたユキに同情し始める。女に逃げられた金山は、ユキに売春させてカネ儲けをしようとたくらみ、岩城に相談をもちかけ、岩城も応じ、前金として3万円をもらう。 何もかもうまくいかなくなったイサ子は、岩城とともに村を出ようとするが、ユキのことが気になり、良心の呵責に耐えかね、金山の店に行き、もう少しで客に犯される寸前のユキを救い出す。やがて岩城は、ユキへの愛を確信し、肉体関係を結ぶ。ユキに対する岩城の気持ちを知ったイサ子は、ひとり村を出て行く。残った岩城の元へ、ついにヤクザがやってきて岩城はあっさり殺されてしまう。岩城とユキの幸福は束の間の出来事であった。 そして冒頭のシーンに戻り、ユキは涙ながらにじょんがら節の曲弾きを聞くのである。 ヤクザになって人を殺し、女のヒモになり、その女にのこのこ付いて来ざるを得ない、救いようのない男と、男と駆け落ちし、その後別れ、自分より年下のツバメを抱えて、恥知らずにも故郷に戻ってきた女の物語だ。生活は荒(すさ)み、どうしようもない二人が、どうにかこうにか生きていくうち、いろいろな出来事に遭遇し、純粋な愛にめざめた直後に男は殺されて水に浮かび、女はまた放浪の旅よろしく、他の土地を求めて村を出て行く。 当時としては、とても映画のテーマになるような男女ではないのだが、そこに、腐れ縁とも呼ばれそうな男女が、この小さな漁村で、それぞれに新たな発見をするのだ。それは現実の厳しさの発見でもあれば、純粋に人を守りたいという気持ちの自己発見でもある。 カメラは冒頭からラストまで、日本海の荒波を、そのままにとらえ、また、人物の背景にとらえる。常に激しい潮騒が聞こえ、この風景や風土は、人間が置かれたところとしての自然を象徴し、妙な小細工をするまでもなく、そのまま、男、女、処女といった人間の原点を暗示している。 そこに、津軽三味線の音が加わり、地方色を出すと同時に、これもまた、心臓の鼓動のような響きをもって、人間の情の原点を暗示しているのである。 荒涼とした風景、押し寄せる荒波、津軽三味線の音で、男と女の生きざまの原点を演出していると言えよう。 イサ子が岩城に愛想を尽かし、ひとり出て行くとき、岩城に投げかける言葉がある。「あんた、ふるさとが見つかってよかったわね」と。 本作品は、佳作が次々に発表されていた日本映画の全盛期ともいうべき昭和40年代後半、第47回(1973年度)のキネマ旬報日本映画部門で第1位となり、監督賞と主演女優賞も獲得している。キネマ旬報ベスト・テンは、個人的に最も信頼する映画賞である。 日本人と日本映画の神髄を見せてくれる作品だ。

  • 池バス

    5.0

    ネタバレ津軽の景色きれい

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  • pin********

    4.0

    ネタバレ悲しきヒットマン

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  • tn1********

    5.0

    ネタバレ昭和の東北の情念

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • yaw********

    5.0

    心にしみる名画。

    見終わったあと、ふーっとため息がでた。心理描写を荒々しい津軽の海が見事に表している。都会から逃げてきた女と男の心理の逆転が、素晴らしい。また盲目の女の純真さは、もはや現代にはなくなってしまった。せりふ、性描写もむしろ、きれいごとで飾り付けた現代よりも真っ直ぐ入ってくる。きれいごとは言うが、陰では売春、暴力、いじめなどが溢れる現代。ストレートに人の営みの中で、性表現、差別が出るのが自然では。差別はいけないと言いながら、水面下で差別しているのが今ではないか。 少女がゴゼになりたい。それも真である。客をとらせては、引き返し、やさしく抱く男。これも人間らしい。 人が死ぬだけで、お涙頂戴の安価なメロドラマが席巻している今だからこそ、見なければならない作品だろう。

  • hitomimimick

    5.0

    ネタバレ故郷を見つけた男と故郷を捨てる女

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • bakeneko

    5.0

    ネタバレ海水浴場でもあるのだけれども波がすごいね

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • kih********

    3.0

    津軽って、本当に、今でもこうなのですか?

     どうにもならない世界。それを、これ以下はないというほど、暗く・重く映し出す。後味の悪い溜め息で終る。製作者の意図は十分発揮されて、成功の作品なのだろう。  南国育ちの私には、津軽の海が分からない。ナマの津軽三味線を聞いたことがない。本当にこういうものだろうか。そうであれば、興味本位の軽い気分で訪問できるところではなさそうだ。  私もかつては夢なり希望なりを抱いてTOKYOに出たことがある。怖い所だった。すぐに逃げ帰った。怒涛のような人の波と神経に響く轟音には耐えられなかった。それから比べれば、今の目の前の(荒いといわれる)玄界灘の波の音など、穏やかなものだ。心地よい。優しい。  この作品は日本中が高度経済成長期で浮ついていた時代。田舎が切り捨てられた時代。あれから数十年、今でも北の海は同じ波音を響かせているのだろうか。白樺・青空の町にコブシ咲く ♪北国の春♪ が来るのではないのか。うちの方は、梅・桃が終わって、そろそろ桜が咲く。砂漠のような大都会でない限り、住めばミヤコのはずだが……。 (目が見えない娘さんが出て来る。こういう出し方は如何なものか。この映画で、この娘さんは目が見えていてはいけなかったのか。ましてや、彼女の視覚障害を“近親相姦”と関連付けるのは如何にも軽率ではないか。哀れを表現するのに目の悪い人を「使う」ことは他の映画にもあることだが、どれもこれも、哀れを誘うために「利用」されているだけのように見える。手っ取り早いのだろう。手法として安っぽいだけでなく、社会や人への理解度が浅いように、私には見える。)

  • uni********

    5.0

    いい映画です

    だいぶ前に観たんですけどいい映画ですね。 ハッピーエンドじゃないけど。 地方出身者なら痛いほどわかるところがたくさんあります。 きれいごとじゃないことってたくさんあります。 そんなところがリアリティに描かれていて素晴らしい作品 だと思います。 江波杏子さんの役どころもポイント高いです。

  • yam********

    5.0

    やっと再会。

    1973年の作品ですか、多分これ後に地上波で放映されたのを見たのだと思います。 中学生くらいの頃かな??? 25~30年ぶりくらいにDVDで見ました。 感激!、いつかもう一度見たいと思っていたので。 映像の美しさが当時テレビで見たのよりもさらに美しく感じたのは気のせいか? ただとても重く暗い内容なのでお勧めはしませんが、凄い映画ですよ。 大人になってやたらと北国を旅するのが好きになったのはもしかしてこの映画の影響だったのかもしれない。

  • sei********

    4.0

    津軽の風土

    津軽じょんがら節のタイトルから弘前をイメージしていたが、ありゃ十三ではないか!私の実家から車で20分かからない。 だが評価に悩む。 津軽の描写という点において、人物や風土描写に違和感を感じる。というのも、「津軽」は外モノにはとにかく閉鎖的な土地柄であり、口を利かない。あんなにオープンではないし、もっともっと土地が暗い。灰色の空だ。 しかし、風土として考えると面白い。 純粋無垢な風土が人間本能へ回帰させる。その風土を人間にしたような「盲目の少女」との交流を通じて、彼は「生」を獲得していく。 この描写は今まで観た題材にはなく興味深い。 「常識的な都会人」である江波杏子の土地を去るシーンがまさに象徴的。 クリアーで美しい画と、波と風の音の拾い方が秀逸で、人間へ波及する力があることを説得させるのに充分過ぎる。

  • eve********

    4.0

    その時代の雰囲気

    まず、DVDジャケット、作中に挿入される斉藤真一さんの絵が この作品の雰囲気にピッタリで良いです。 話を簡潔にまとめてしまえば、 女のヒモになっていた男が、 自分の事を頼りにする女に引かれていってしまう、三角関係の よくある恋愛ドラマ…、 しかし、この作品の舞台、津軽の閉鎖的な、独特な風情、風土が重みのある人間ドラマに変えてしまう…そこが素晴らしく、今の時代で描かれる事は難しい…。 暗いトーンの中に都会から来た女の赤いコートが映えていて映像的にも美しい作品。 登場人物にも惹かれます!

  • mn2********

    5.0

    また傑作に出会いました。

    1973年の作品。確か「キネ旬」で、1ー2位にランクイン。 当時私は、高校1年生(かな、その前後)。 生意気に、見たくもあったのですが、 ATGの映画って、当時、日劇の地下の映画館でしかやってなく、 見れませんでした。 もうあれから30年以上、ついに見ました。この映画。 (自分、ストーカー的なんですかね。あの頃、見たくて、見なかった映画、追ってる感じです。) 見終わって、打ちのめされた感じです。 最近の邦画、恋愛映画の原点。 荒れた日本海の冬景色。 津軽三味線の激しさ。 男と女。 骨太に、「人間」が描かれます。 映画は、70年代、自分は、「出稼ぎ」にしろ時代背景、実感できましたが、 若い世代の鑑賞者、ちょっと難しいかもしれません。 1960年代、日本は「高度経済成長」で、 田中角栄の「列島改造論」が出るまで、 地方は、地方でした。 その後、「土建国家・日本」になるのですが。 映画、そんな時代の男と女を描きます。 まだ地方が、地方だった時です。 邦画が好きな方。 もし、この映画を見ていなければ、絶対見てください。 すごい映画がありました。

  • syu********

    4.0

    津軽三味線の音色が切なく胸に突き刺さる

    荒々しい日本海の風景と津軽三味線の音色が切なく胸に突き刺さるATGを代表する傑作。 映像派監督斉藤耕一が土俗的なるものと都会的なるものの邂逅を映像美の中に描いて1973年の日本映画各賞を総嘗めした話題作女は真紅、男は黒。二人が立ちつくす無彩色の浜。轟音をとどろかせる荒波。叩きつける津軽三味線。斎藤真一の不気味な絵までもが美しい。ラスト、イサ子と徹男は常にここを出て行くか留まるかの揺れる選択肢。そうした中、徹男はユキを選び、イサ子は出て行く。出て行く時に「あんた、故郷ができたね。」と洩らす。都会人の願いであろう基調テーマが完。 時代背景: 日本の高度成長の真っ只中で、ゴーゴーからディスコ、ソウルミュージックに代わり、新宿が今の六本木のような最先端の地であった頃。地方から大都会へ人々は流入した。田舎には何もないと思う一方、都会の虚像欺瞞もあちこちに感じている時代。 映像派監督斉藤耕一1972「旅の重さ」情感に溢れた映像が印象的            「約束」仏蘭西映画の様なお洒落さ 荒々しい日本海の風景

  • adm********

    5.0

    こういう作品こそ表に出るべき

    邦画嫌いが増える中その人らはこのような邦画をまったく知らないで変な先入観だけでつまり食わず嫌いなのである。 このような傑作を知って欲しい

  • ta9********

    5.0

    コレも後味の悪い傑作ですね!

    もう人間の業とか欲が全開で、それを津軽地方の田舎ならではの排他観・人間としてのタブーが渦巻く最悪の傑作です(?・笑)。正直1回観れば充分な怪作で他の人もコメントしてましたが地上波での放送は永遠に不可能でしょう!

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