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津軽じょんがら節

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4.0

ネタバレ悲しきヒットマン

シネヌーヴォで鑑賞。フィルム上映(やっぱりフィルムはええわ)。 1973年 1月13日 「仁義なき戦い」 公開 1973年 12月20日 「津軽じょんがら節」 公開 知っている人も多いネタですが、「仁義なき戦い」が同年のキネマ旬報1位を獲るのでは、と噂されるなか12月20日に「津軽じょんがら節」が公開された(ただし、有料試写会という形で)。当時のキネ旬の規定では12月20日までに公開された作品が同年のベスト10の対象だったので、本作も滑り込みで対象となった。結果本作が1位、「仁義~」が2位となった。 このような「きわどい」事が起こった理由は不明だが、私が聞いた噂(あくまで噂です。はい。)では、「ヤクザ映画はキネマ旬報の1位にふさわしくない」と考えるある種のグループが本作の公開を早めて、このような結果にした、というもの(キネマ旬報ベスト10の好きなところは、誰がどの作品に何点投票したかを公開している点。今でも、誰が本作に10点、同時に「仁義なき~」に1点あるいは0点をつけたかは資料として残っているのでそこには公開性を感じている。)。 その後、「仁義なき戦い」は映画100周年オールタイムベストテン 22位 99年の映画人が選ぶオールタイムベスト100 7位 などオールタイムベストでは上位の常連となるが、本作はいつも選外である。 相手の幹部を殺したはいいが、相手だけでなく自分の組織からも狙われて、あんな結末になる徹男みたいだ。 45年前に1位になった(そして今はツタヤに置いていない)本作を今の自分の感性で観たらどう感じるのか、という事が前から凄く気になっていた。 で、本作の感想ですが、「面白い」(「仁義~」までは本作の様なウェットな作風が邦画の主流だったが、「仁義~」以降ドライな、あるいはハリウッドっぽい作りの作品が主流となっている。本作は一周回って面白いという感じか。) 「砂の器」など日本の原風景を美しく映像化する作品は当時少なくなかったが、その原風景そのものが壊滅的な昨今。 津軽の荒波だけで☆☆、白川軍八郎や高橋竹山等の津軽三味線の効果的な使われ方で☆、斉藤真一のごぜ絵で☆0.5ここまでだけで☆3.5が確定ですわ(荒波のシーンで目が釘付けになるのは、本作と「ライアンの娘」が私には双璧)。 話もしっかり作り込まれている。 金のない徹男が飲み屋の店主にそそのかされて、ユキに売春させようとするが、途中で翻意してユキを助けるシーン。昔観たときは、チンピラの徹男が心を入れ替えて盲目のユキを助けるなんて話がきれい過ぎる、と思った。 ただ今回観て思ったのは、徹男はヒモだ。相手をひどい目に遭わせて、後で優しくするのはヒモのテクニックとしては常套。徹男にはその資質があり無意識にそのような行動をとったとしても不思議ではない。そう考えると逆にリアルだ。 今後もオールタイムベスト100等とは無縁であろう本作。 出来れば、時々は映画館で上映して欲しいものだ。 DVDでのTV画像では、あの津軽の荒波の圧倒感は伝わりにくいだろう。 連日猛暑日が続く大阪。 あの映像でかなりの暑気払いになりました。

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