実録 阿部定
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(3件)


  • rok********

    5.0

    エロスとタナトスをくっきりと

    @神保町シアター、予備知識ほとんどなし。普通に面白い。 生と死が愛によって密接な関係にあることが、1時間15分とは思えない充実感と共に提示される。音楽も歌詞がシンプルで良い。ほとんどが2人のシーンという意味では『ゼロ・グラビティ』と一緒か... 包丁がやたら映されて、何切るんだろう何切るんだろうと思っていたら、なにを切った。

  • どーもキューブ

    4.0

    定、吉二人愛、食共に

    田中登監督いどあきお脚本。主演宮下直子が実に素晴らしい。田中監督は、定と吉の物語を終始四畳半の性愛と飲食で切り取る。時代背景や当時の世相を最小限に留め、定の生い立ちもサラリと描写。れいの事件から逮捕にいたるまであくまで定と吉の行く末のみ絞った。代役として宮下に役がまわってきたそうだが、宮下曰わくこの時ばかりは頑張ったそうです。素晴らしい恍惚の表情必見!吉の江角秀明も名演。襖から伸びる食べ物、酒瓶、しめあう愛、傷跡。吉の首の傷で食べ物が喉を通らない苦痛な江角!宮下の雑草のはえた山々で煙草吸うシーンの美しさ、四畳半からの解放的自然描写。「愛のコリーダ」とまた、違う傑作が宮下の体をとおして愛は語られる。刻む愛純粋合体さだときち!

  • neu********

    5.0

    女の明日

    すっかり体調を崩してた4月中、やっとこ身体が動くようになって、「さぁ、どの映画を観に行こうかな...。」と、よく行く映画館の上映予定を検索していると、渋谷の怪しい通りにあるユーロスペースで、37年前のポルノ映画【実録・阿部定】を上映すると分かった。 これを観逃しては、学生時代に池袋文芸座で観逃した時以来の後悔を背負い込むことになり、ひいては、次に観られるのが30年後となってしまうかもしれないので、「一緒に観に行きます。(≧▽≦;)ノ」と言い出すうんちく奴隷なんかいなくたって観に行ったというわけだ。 物語は、かの『毒婦・阿部定事件』を元にした脚本で、料理屋の主人・石田吉蔵(きちぞう)と、その愛人・阿部定(さだ)が二人で姿をくらまし、愛欲の日々を送った待合旅館の部屋を中心に物語を映し出す。 二人の結末は世の知るとおりに、定が吉蔵を絞め殺した上に陰部を切り取って、その血で『定・吉二人きり』と書き残して待合から出奔。そして、終日後に警察が定を逮捕した時には、切り取った吉蔵の陰部を持ち歩いていたということで、一大センセーショナルに報じられた。 この事件のあったのが、太平洋戦争の始まる5年も前の昭和11年であったのだから、それはそれは世間に衝撃を与えたのだろうと想像が出来る。 定は宮下順子が、吉蔵を江角英明が演じる。その他には、二人が乳繰り合う場面に花柳幻舟が出たり、待合旅館の女中や、定が頼りとする大宮、あんま等が物語上出てはくるのだが、ストーリーは全て定と吉蔵二人きりで進められていく。 正直、一番演技の上手かったのは、乳繰り合う二人の目の前で三味線を弾く芸者を演じた花柳幻舟だったように思う。(笑) 思うに、1975年当時の日活ロマンポルノだから、1週間ほどで撮られたに違いない。そんなアナクロ・アナログな撮影環境の中、四畳半をベースにした二人の成り行きを坦々と映すというのは、昨今のデジタル処理で事足りると思い込んでる映画人には思いも付かないだろう。 確か当時は、男女の肌が合わさっている状況を映すとダメだったはずで、そういった部位に関しては、吉蔵が部屋に持ち込んだカバンのこっち側から絵を撮ることでカバーしている。 これがまた、四畳半という限定された空間の狭さを表すのに役立っているわけで、どうにもアナログ映画業界人の知恵には適わないなぁ~と思い知らされる。 当時は、成人限定のロマンポルノではあったのだが、平成の世に観ると、「今時、テレビでだってこれぐらいの裸は出るよ。」というぐらいの裸であり、女性専用席にした後席二列にそれなりに座っていた女性客にもポルノ的刺激は少なかっただろう。 それよりも、定が絞め殺した吉蔵の遺体から陰部を切り取るシーンで、ぐさっと音がした途端に、男性客の影が一斉にビクっとしたのが、自分も含めて身につまされてしまったわけだと可笑しくてたまらない。(笑) この映画をなぜこうも観たかったのかというと、残念ながら宮下順子の裸が目的ではない。観たかったのは、吉蔵を演じた江角英明の方だ。この江角英明という人は、ほとんど世にその名を知られない脇役俳優であったのだが、旧ルパン三世の第2話『魔術師と呼ばれた男』で、ルパンの敵役・白乾児(パイカル)の声をあてた俳優なのだ! 顔つきは、現代でいうところの杉本哲太をもうちょっとゴツくしたような感じで、到底、色男といえない部類ではあるのだが、極く少人数で織り成す物語の中では、この声の力が妙な納得感を与えてくれる。 映画を観終わって、帰りのエレベーターで一緒に乗った若いカップルの女性が、「あんな風に首絞めるのはやだなぁ。」というと、「うーん、何も殺しちゃうまでは絞めなくてもね。」、「わたしなら、絞められる方が良いかな。」、「えっっ?ハハハハハ...。」という会話をしていた。しかし、この映画でも「吉さんがいなくなったら、私も生きちゃいないんだから。」などと言いながら、事が済んで待合を出る朝には今までと違う朝を迎え、警察に捕まる時にはこの後生きていく顔をするのを観ていながら、そんな会話にちょっと喜んじゃう男っていうのは、女が常に明日のために生きているんだと知らずに生きているんだなぁ~と思わずにいられない一休であった。 ちなみに、阿部定の生死は不明のままである。

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