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ある映画監督の生涯 溝口健二の記録

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5.0

ネタバレ昭和映画青年必見

溝口健二の名を知らない映画ファンは少ないと思う(最近は「小説家?」なんて聞き返されて、こまったりするが)。 鬼気迫るリアリスティックを追及する監督業務の裏に、「どう撮っていいか解らない」模索があったとは。困り果てるとセットを崩す・・・という破天荒は、まるでドリフターズの「8時だよ」ネタだ。 女性を描くその裏に、若き日の女遊びの果ての刃傷事件があったとは。 溝口健二に「惚れられていた」と言われる、田中絹代自身の語りがあるなんて。 新藤兼人監督は、これでもかこれでもかといたぶるように掘り返す。まるで執拗に捜査を続ける鬼刑事のようだ。そして炙り出される天才の滑稽。 リアルを追及し続けた溝口健二を、これ以上のリアルはないドキュメンタリーのネタにしてしまう、新藤兼人のあざとさも観る者をうならせる。 かなり以前の作品なので登場する方々のほとんどが亡くなられている。そのことも、極めて貴重なドキュメンタリーであることに間違いはない。 昭和の映画青年は必ず観て欲しい作品だと思う。 音声が聞き取りずらかったのが残念。修正して、しっかり保存して欲しいと願う。

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